大阪の新店舗が大盛況! 資さんうどんが乗り越えてきた、各地の「うどん文化」長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/4 ページ)

» 2023年12月10日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

大阪と異なる特徴も、すんなり受け入れられた

 大阪には独自のうどん文化があり、相容れない心配もあったが、全くの杞憂だった。大阪のうどんも、資さんうどんも、コシはない。大阪のうどんはやわらかく歯切れが良い。それに対して、資さんうどんは、もっちりとしている。一方で、どちらもだしが染み込んだ、やわらかいうどんを食べさせる文化といった共通点があって、大阪でも歓迎されている。

肉ごぼ天うどんとミニかつとじ丼のセット。

 今福鶴見店のロケットスタートを見れば、大阪都市圏(都市雇用圏、10%通勤圏)に住む約1200万人の市場で、かなりの出店が期待できる。12月7日時点で大阪府内に「丸亀製麺」は54店、「はなまるうどん」は28店ある。讃岐うどんはコシが強く、大阪のうどんとは全くの別物にもかかわらず、受け入れられている状況だ。資さんうどんも、出店を重ねられるのではないだろうか。

おでんも人気のメニューだ

 資さんうどんは2024年、大阪市と隣接する兵庫県尼崎市に2店をオープンすることも決まっている。8月11日には、大阪に先行して、岡山県初出店となる岡山大元店を岡山市北区にオープン。岡山県と香川県を結ぶ本四架橋により、コシが強くいりこだしが一般的な讃岐うどんの店が増えている。にもかかわらず、岡山大元店も想定を上回る来店数となっていて、行列ができており、すんなりと受け入れられている。

ちょっと珍しい「ぼた餅」もラインアップ。もち米は店舗で炊き上げているという

 これまで資さんうどんは、中国地方には山口県に5店を出店していた。北九州市と山口県下関市は関門海峡で隔てられているが、今やトンネルと橋で陸続きとなっている。密接な地域性もあって、順調に出店しているのだ。山口県に初出店したのは09年で、翌10年に出店した福岡市よりも早かった。

 福岡県でも北九州市と周辺部だけでなく、福岡市や久留米市など筑後地方にも出店。福岡市に出店する際は、地場の博多うどんに味を合わせた方が良いという意見もあったが、創業者の大西章資氏は、これまで支持されてきた味を貫いた。こうした覚悟と出店攻勢によって、北九州以外の地域にも資さんうどんが受け入れられる素地ができたといえるだろう。

注文はタブレットで行う

 「ウエスト」や「牧のうどん」といった博多うどんについて、資さんの広報は次のように言及する。

 「博多うどんは麺がより一層やわらかくて、だしがあっさりしている印象。味わいの部分で大きく異なる。例えば資さんうどんは、麺の表面はやわらかいが、中はモチモチした食感だ。だしは鯖節、昆布、椎茸などから取った濃い目の甘みが残る味になっている。同じ福岡県出身のうどんチェーンとして、博多うどんをライバル視することなく、うどん文化を盛り上げていきたい」

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