なぜ会社員もせっせと「裏金」をつくってしまうのか 日本にはびこる「員数主義」スピン経済の歩き方(3/5 ページ)

» 2023年12月12日 11時25分 公開
[窪田順生ITmedia]

警察も裏金をつくっていた前科あり

 そんなことを言われると、「そういう連中もいるが、ほとんどの日本人はマジメだ! そもそもそんなに至るところで裏金をつくっていたら、もっと警察が逮捕しているはずだ!」と納得のいかない方もいるだろうが、実はその警察も裏金をつくっていた前科がある。

 詳しくはググっていただきたいが、北海道警や神奈川県警、群馬県警などの裏金づくりが、元警察官らに告発されて大きな問題になった。筆者も実際に告発した人々に話を聞いたことがあるが、個人レベルでやっているようなものではなく、組織の中でノウハウが何十年も受け継がれてやっている印象を受けた。

警察官の裏金づくりも問題に(出典:ゲッティイメージズ)

 そんな昔の話をいつまでもほじくり返すなと怒る警察官の方もいらっしゃるだろうが、実はこれは「継続中」の可能性もあるのだ。

 23年8月、広島県警の警備課に勤務していた男性が、19年5月からの10カ月で「カラ出張」を少なくとも6回申請し、日当や旅費、時間外手当を受け取ったことが明らかになった。ここまではよくある不正の話だが、問題はこれがどう発覚したかだ。

 『男性は当時の上司からの指示で書類を偽造したということですが、組織的な関与があるとして県警の監察官室に自ら申告したうえで去年3月に退職しました。県警・監察官室は「出張にかかる不正な経費の請求があったのではないかという情報を得て、現在調査・捜査中である」としています』(HOME広島ホームテレビ 2023年11月20日)

 そして12月8日、広島県警は、県警本部に勤務する警部(53)と警察署勤務の警部補(50)と巡査部長(35)を詐欺と虚偽公文書作成・同行使の疑いで書類送検したという流れだ。

 さまざまな警察の中で裏金が組織的につくられていた事実がある中で、「この3人だけなのか」という疑問はあって然るべしだ。トカゲの尻尾切りの可能性も否めない。

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