カギは「男性客」? しのぎを削る、やよい軒と大戸屋 その似て非なる戦略(1/3 ページ)

» 2023年12月13日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]

 定食チェーンの代表格といえば「大戸屋」と「やよい軒」が挙げられる。両チェーンとも定食メニューをベースとしており、店舗形態も似たような印象がある。

 一方で出店地域やFC比率など、視点を広げて細かく分析すると、意外な違いがあることに気付く。また大戸屋に関して、経営難に陥ったという印象が強いが、コロワイド傘下で持ち直しつつあり、攻勢をかけようとしている。対するやよい軒も新たな方針を模索中だ。方針の違いは今後の命運を分けるかもしれない。両チェーンの共通点や意外な相違点、今後の施策について比較していこう。

出所:ゲッティイメージズ

両チェーンともに300以上の店舗を展開 成り立ちの違いは?

 まずはそれぞれの簡単な歴史を見てみよう。個人経営の食堂がルーツである大戸屋は、1983年に法人化。その後に直営で店舗数を増やし、2003年からフランチャイズ(FC)展開を始めた。当時、リーズナブルな価格帯でチェーン展開する定食屋は珍しく、順調に成長していく。13年には売上高が200億円を突破し、18年には過去最高の約262億円となった。

大戸屋の代表格「すけそう鱈と野菜の黒酢あん定食」(出所:同社公式Webサイト)
創業時から愛されるという「大戸屋ランチ定食」(同前)

 一方、やよい軒は弁当チェーン「ほっかほっか亭」の九州地区フランチャイジーだったプレナスが1989年に始めた丼もの・定食屋「めしや丼」をルーツとする。2002年にめしや丼として100店舗を突破し、06年に屋号を「やよい軒」へと統一した。その後は大戸屋と同様、安い定食屋として規模を拡大し順調に店舗数を伸ばしていった。

 22年度末における国内店舗数は大戸屋が311店舗、やよい軒が364店舗である。国内の方針を比較したいため本記事で詳細は触れないが、大戸屋・やよい軒ともにFCという形で100店舗以上の海外店を有する。

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