では、令和的な発想とは何か。まだ話は1ミリも進んでいないようだが、事業を担当している伊藤航さん(経営企画本部)はこのような話をしてくれた。「会社に通勤されているお客さまが荷物を運ぶのはどうでしょうか」と。たくさんの資料を持って出勤する人もいれば、ほぼ手ぶらの人もいる。持ち物が少なくて、時間に余裕がある。そうした人たちが荷物を運んで、ロッカーに商品を詰めるという話だ。
物流業界でも人手不足が叫ばれているので、運ぶ人の数は限られている。そうした状況の中で、移動中の人に配送を手伝ってもらう仕組みは、個人的にアリだと思っている。運んだ人は報酬を手にできるので、「じゃあ、このお金で、次は特急に乗るか」といったことになるかもしれない。
ただ、このアイデアを実現するには、さまざまなハードルがある。鉄道会社は「安全」を最優先しなければいけない。通勤中の人が荷物を運んでいて、なにかトラブルが起きたとすれば(いや、何らかのトラブルは必ず起きる)、このような声が出てくるはずだ。「ほらみたことか」と。
メディアが取り上げ、反対派の声が大きくなる。それをまたメディアが報じる――。こうしたループが想定される中で、実現に向けて動き始められるのか。注目である。
そんなこんなで、いまのところボピスタの本格稼働は24年春を予定している。興味深いのは、このビジネスモデルを「西武線だけ」に囲い込んでいない点だ。「他の鉄道会社から問い合わせが来ていて、ノウハウはお伝えしています」(伊藤さん)とのこと。
となると全国各地で、コストコ“駅ナカ店”が広がるかもしれない。
「コストコ」専門のネットスーパーが人気 なぜオープン前に会員が1万人を超えたのか
「ゆで太郎」の“弟分”「もつ次郎」が、急成長しているワケ
渋谷駅にサラダ自販機を設置して、見えてきた「0.13%」の数字
水を温めただけの「白湯」が、なぜ想定の3倍も売れたのか アサヒの“着眼点”が面白いCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング