なぜクルマは高くなってしまったのか 高額化に恩恵を受ける人も高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)

» 2023年12月15日 09時52分 公開
[高根英幸ITmedia]

開発コストも膨らんでいる

 保安基準の国際共通化により、安全装備などの義務化も進んでいる。環境性能も、輸出を考えれば、国際基準に合わせた方がむしろコストダウンになるため、昨今の国際基準化はどの自動車メーカーにとっても歓迎すべき状況だろう。

 開発コストは、MBD(モデルベース開発=コンピュータ上でシミュレーションによって行う開発)で試作を減らすことなどにより削減している部分はあるが、10年前と比べると開発領域が幅広く、トータルのコストでは以前よりはるかに増大している。人材なども含めたリソースという点では、ほとんどのメーカー(トヨタを除く)が十分に足りていない印象だ。

試作車を作って様々な試験を繰り返すよりも、コンピュータ上でシミュレーションして、かなりの段階まで煮詰めた上で試作車を製作するようになった。試作車の製作費が削減できるだけでなく、天候や交通状況などに左右されず、試験の再現性も高まるというメリットがある

 排ガス規制、騒音規制などの厳しくなる環境規制と安全性能、快適性などはユーザーの要求も年々高まっているため、開発や生産コストは上昇する一方だ。

 それでもクルマの安全性が高まって交通事故による死者は減少し、クルマの燃費も向上しているのだから、ユーザーは恩恵を受けていると言えるだろう。

 では、販売側はどうか。

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