なぜクルマは高くなってしまったのか 高額化に恩恵を受ける人も高根英幸 「クルマのミライ」(5/5 ページ)

» 2023年12月15日 09時52分 公開
[高根英幸ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5       

クルマの高額化はますます加速

 このように近年のクルマは贅沢な装備をどんどん追加して価格を引き上げて、ユーザーの満足度を高めつつ、自動車メーカーやディーラーの利益を確保している。コロナ禍で乗用車の需要が高まり、半導体不足など生産の乱れもあって、最近は納期を最優先するユーザーが増えたことから、販売条件は売る側にとって有利になった。1台当たりの利益は増加傾向にある。

 人口減少でこれからクルマの保有台数は減少していくことになるから、ディーラーの生き残り策としても高額化は重要な条件なのだ。

クルマはますます高額になる(イメージ)

 クルマの生産については、最新の生産技術「ギガキャスト」など、コストを圧縮する方法の採用が進むかもしれない。また「ジャパンモビリティショー2023」で展示された超小型モビリティなど、これまでにないジャンルのモビリティも併用されることで、乗用車の需要は低下していくことも想像できる。

 今後、ますますクルマは高額化していくだろう。燃料も今よりも安くなる要素はほとんどない。モビリティの多様化も進み、自家用車は再び贅沢品へと向かっていくことになりそうだ。

筆者プロフィール:高根英幸

 芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。


前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.