「NISA」セミナー付きの婚活パーティー、松井証券が初開催 新制度開始で投資促進へ

[ITmedia]

　婚活パーティー内でNISA（少額投資非課税制度）の知識を学ぶ──。松井証券がこんな変わったイベントを12月13日、都内で初開催した。2024年から年間投資額を拡大する「新NISA」制度の開始に向けた取り組み。同社が婚活経験者の男女600人に実施した調査では、約65％が「結婚前にお金の話をしておけばよかった」と回答しており、同社は新制度開始を機に、将来設計に関連したイベントを開催し、若年層の投資拡大を図る狙いだ。

パーティーの様子（同社提供）

　婚活サイト上で募集したイベントには、NISAへの興味や投資経験のある男女40人（25〜40歳）が参加。有名シェフ監修の食事を食べ、親睦を深めつつ、松井証券の社員が新NISAに関する特別セミナーを行い、投資知識をレクチャーした。セミナーでは、「一生賃貸派」か「戸建て購入派」という住居に対する価値観や、「短期で利益を上げたい派」か「長期でコツコツ積み立て派」という投資への価値観に関するアンケートも実施。参加者同士の価値観を確認し合った。

価値観を確認するアンケートも実施（同社提供）

「交際前にお金事情を聞きづらい」9割

　同社が実施した調査では、婚活参加者がお金に関する価値観を重視するという結果が出ている。結婚相手を探す際、最初に重視する条件の上位は、「顔」（78.7%）、「年齢」（78.0%）、「年収」（59.0%）の順になった一方、交際前のデートで実際によく話す内容では、「趣味」（77.7%）、「仕事」（53.0%）、「性格」（38.0%）と続き、「お金」（11.7%）は最下位となり、交際前にお金事情は聞きづらいと感じている人が約9割に上った。

　ただ、実際はお金に対する価値観の一致は重要なようだ。調査対象者に「結婚相手を探す際、お相手のお金事情について気になるもの」を尋ねたところ、「お金の使い方の価値観」（69.3%）が最多となり「年収」（63.0%）を抑えた。

お金の使い方に関する価値観を重視する結果が出た（出典：松井証券の調査結果）

結婚の決め手「性格」「見た目」に次いで「お金への価値観」

　婚活を経て結婚した300人に「結婚相手の決め手」を尋ねても、価値観は重要なようで「性格・考え方が魅力的」（78.3%）、「顔・見た目が好み」（70.0%）に次いで「お金に関する価値観が合う」（68.7%）が入った。だが、「相手のお金事情について話し合ったタイミング」については、「交際前」が6.0％にとどまった。

お金事情を話したタイミング（出典：松井証券の調査結果）

　「婚約後・結婚後」（43.7％）、「交際中」（41.0％）が大半を占めたように、相手選びで重要な要素であるにも関わらず、お金事情については婚約後に話した人が多いことも明らかになった。

　調査ではまた、お金やライフプランについて話せている家庭の約7割が「夫婦仲がよい」と回答。結婚後の夫婦仲にも影響を与えることも分かった。

お金の価値観と夫婦仲の関係

　こうした調査結果から、同社は結婚前にお金に関することを話すきっかけ作りとしてイベントを企画した。担当者は「物価高などで資産形成と向き合う重要性が高まっている。投資に対して不安を感じる人が多くいると思われるが、今後もライフイベントと絡めた企画など投資を身近に魅力的に感じられるような企画を検討していきたい」としている。

　政府は24年から、年間投資枠を最大360万円（つみたて投資枠：年間120万円、成長投資枠：年間240万円）に拡大し、非課税保有期間を無期限化するなどの新制度を始める予定で、金融各社が新規顧客獲得に向けた取り組みを進めている。

新NISA（出典：金融庁の公式Webサイト）