2024年から始まる新NISAを巡り、証券会社の動きが慌ただしくなってきた。新NISAは1社でしか利用できず、さらに年間投資可能額は360万円と大きい。自社で新NISA口座を開設してもらえるかどうかは、最重要課題だ。
特に競争が激しいのが、5大ポイント経済圏だ。楽天ポイント、PayPayポイント、dポイント、Pontaポイント、Vポイント(Tポイント)のそれぞれには、楽天証券、PayPay証券、マネックス証券、auカブコム証券、SBI証券が属する。しかし、各証券の口座数には大きな開きがある。最後発からの追い上げとなるのがPayPay経済圏に属するPayPay証券だ。
新NISAを機に、どのように巻き返す戦略を考えているのか。PayPay証券の番所健児社長に聞いた。
――新NISAが2024年からスタートする。PayPay証券でも10月1日にNISA口座対応をスタートしたが、これに向けての戦略を教えてほしい。
初めての資産運用ならPayPay証券だと、皆さんに思ってもらえる会社になる。第一想起される会社になる、そういうサービスを提供していきたい。投資未経験者や新NISAをきかっけに投資に踏み出す投資初心者がターゲットだ。
これまで、PCを中心としたネット証券は、ネットトレーダーを主なターゲットとした収益モデルだった。ただし、この20数年間でネットトレーダー人口が拡大してきたというわけではない。トレーダー層の高齢化もある。
一方でわれわれが戦おうとしているのは資産運用の領域だ。資産運用は、これまで対面証券を中心に富裕層向けに提供されてきた。そこをわれわれが変えていかなくてはならない。投資をやっていない投資初心者は、実は全世代においてマジョリティーだ。この層を、新NISAを機に取り込んでいく。
――競合他社も投資初心者をターゲットとしている。ネット証券だけでなく、銀行なども新NISAをきっかけに初心者の取り組みを狙っている。どう戦っていくか。
PayPay証券が他に比べてユニークなのは、PayPayという決済を中心としたスーパーアプリと共に戦っていくということだ。PayPayは、6000万人超のユーザー基盤になっているし、決済領域にはまだまだ成長の余地がある。さらに、スマホはあらゆる人にとって必需品であり、常に手元にあって生活に結びついている。タッチポイントの部分、顧客接点については大きな差別化ができており、一丁目一番地で戦っていける。
――ネット証券の多くがいずれかのポイント経済圏に属し、グループのクレジットカードを使った投信積立サービスを提供している。強力な顧客囲い込みのツールとなっているが、PayPay経済圏では、まだサービスを提供できていない。
PayPayカードの与信枠の活用は、法令で定められているので、投資信託の積み立てサービスの提供は考えている。
ポイント経済圏も各社で同じではない。ポイントの使いやすさも大きく違っている。PayPayポイントは、大手のチェーン店はもちろんオンラインショップや個人商店なども含めPayPay日常使いの決済に利用できる強みがある。
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