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ついに株式売買手数料の無料時代が到来する。ネット証券首位のSBI証券と第2位の楽天証券は、10月以降、いずれも国内株式取引の手数料を完全無料化する。その背景には何があるのか、無料化後何が起きるのかを探っていこう。
SBI証券は「ゼロ革命」と題し9月30日発注分から、楽天証券は「ゼロコース」と題して10月1日発注分から、国内株式の現物および信用取引の取引手数料を無料化する。
条件は、SBI証券は取引報告書などの各種交付書面を「電子交付」に設定すること、楽天証券は「SOR」(スマート・オーダー・ルーティング)への同意だ。SORとは複数市場から最良の市場を選択して執行する注文方法のことを指す。
今回の無料化を先導したのはSBI証券だ。SBI証券の親会社、SBIホールディングスは2019年10月に、傘下の証券会社の取引手数料を今後3年でゼロにする「ネオ証券化」構想を打ち出した。満を持して、この構想が実現した形だ。
その狙いをSBI HDの北尾吉孝会長兼社長は、決算会見で次のように話した。
「いったんSBIグループで口座ができたら、その中で為替取引をやろうとか、信用取引をやろうとか、外国株取引をやろうなどと、次々に取引が成立していく。どのサービスでもうちが一番いいとなったら、ユーザーはよその証券会社にいく必要がない。さらにビッグデータを活用して、グループ会社にどんどん送客していく。これが手数料をゼロにしていくことの意味だ」
金融商品は基本的にどこで購入しても同じものが買える。であれば、顧客は最も手数料が安く、品ぞろえが良く、使いやすい証券会社を利用するだろう。SBI証券は株式取引だけでなく、IPO、FX、オプション、先物、債券など業界随一の商品ラインアップをそろえており、他社にあってSBI証券にないというものはない。まさに強者の戦略を実践してきた。
業界トップを自認するSBI証券だが、取引手数料の無料化で圧倒的な強いポジションを築こうとしている。それが可能な理由は、収益源が多様化していて取引手数料に依存しない事業構造になっていることだ。
以下は、SBI証券がまとめた主要ネット証券各社の収益構造を比較したものだ。「委託手数料」とは株式などの売買手数料を指す。また「金融収益」とは主に信用取引の金利収入を指す。これを見ると、多くの証券会社で売買手数料が大きな収益源となっていることが分かる。SBI証券は、収益全体に占める委託手数料の比率が22.9%と最も小さく、ここをゼロにした場合の業績へのインパクトは最も小さい。これが、SBI証券が手数料無料に踏み切れた理由の一つだ。
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