女性は男性よりも平均30.4%賃金が低い――これは、昨年度の男女賃金格差について情報を公開した約7100社のデータから分かったことだ(2023年7月13日 日本経済新聞より)。男性の年間平均賃金を100とすると、女性は69.6しかもらえていないということになる。
日本では男女の賃金格差が長年問題視されている。厚労省は01年に「男女間の賃金格差問題に関する研究会」を組織し、03年には賃金格差解消のためのガイドラインも作成した。その成果か、20年前に比べれば格差の幅は縮小したが、まだ十分とはいえない。国際的にみても、OECD平均の2倍の格差がある。ここではその理由を深掘りし、改善の方向性を検討してみたい。
01年の時点で、日本の女性の平均賃金水準は男性の65.3%だった。21年には75.2%まで上昇しているが、20年かけて10ポイントしか改善していないとも言える。前述の通り諸外国と比較しても差異が大きい。
格差の最大の要因について、前述の研究会は「男女間の職階(部長、課長、係長などの役職)の差であり、勤続年数の差も影響している」と指摘している。これは20年たった今でも変わらない。
企業の課長級以上の女性管理職割合は、昨年度で12.7%と低迷している。給料の高い役職を男性が占めていれば、男性の平均賃金が高くなるのは当然だ。実際、キヤノンやディスコなどが役職や等級別の賃金格差を示しているデータを見ると、管理職同士や同じ等級同士では賃金の格差が小さく、場合によっては女性の方が高い場合もある。
また、育児や夫の転勤などで女性が会社を辞めざるを得ないことがいまだに多い。そうすると勤続年数に応じて給与がアップしていく仕組みの恩恵を受けられないし、女性管理職が増えないことにもつながっている。
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