スシローが「デジタル回転レーン」で狙う顧客体験とは? 家族と一緒に行って分かったDXの最前線(3/5 ページ)

» 2023年12月16日 05時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

「だっこずし」ゲームに夢中

 デジローの大きな特徴の一つに、「だっこずし」のゲームがある。だっこずしとは、スシロー公式のキャラクターで、動物と寿司ネタが合体したものだ。

 ゲームで遊ぶには、ある程度の商品を注文する必要がある。注文額に応じて画面の右上にある数字がどんどん増えていく仕様になっており、100%になるとゲームが始まる。だっこずしのキャラクターがかけっこをしたり、釣りをしたりと、いくつかの種類がある。

だっこずしゲームの概要

 かけっこモードの場合、4体のキャラクターが一斉に走り出し、1位を競う。特定のキャラクターが1位になると、景品が専用レーンで運ばれてくる。単に画面上をキャラクターが走るだけでなく、途中でさまざまな演出が用意されており、随所に飽きさせない工夫がしてある。また、同じかけっこモードでも、1回目と2回目では違うしかけがあった。長男と次男はいずれのゲームにも夢中になっており、エンタメ性の高さを実感した。

 注文するごとにゲージの数字がどんどん増えることに気付いた次男が、「お父さん、早く次の寿司を注文しよう」と前のめりで画面を操作し始めた。家族全員がお腹いっぱいになった後でも、「仕方ないなあ」と親が追加注文に応じるシーンが容易に想像できる。実際、妻は子どものおねだりに負けて、自分で飲むためのアイスコーヒーを追加注文していた。エンタメ性の高さと、客単価向上の両方を狙える仕掛けといえるだろう。

実際のゲーム画面
ゲームを楽しくする演出
ゲームを楽しくする演出が豊富

 ちなみに、われわれがお店に滞在したのは約1時間だ。注文したのは計40点で、8450円を支払った。ゲームは5〜6回行われ、景品が2個当たった。

あたりがでると景品が運ばれてくる

 同じような仕組みとしては、くら寿司の「ビッくらポン!」が挙げられる。各テーブルに備え付けられた「皿回収ポケット」に食べ終わった皿を5枚入れるとスタートし、「あたり」が出ると景品がもらえるサービスだ。

 スシローでは迷惑動画事件を受けて、注文された商品しかレーン上に流していない。また、競合のはま寿司やかっぱ寿司でも、注文した商品だけを流す“脱回転”路線を選択している。大手で寿司を回転させているのはくら寿司だけという状況だ。現状では、寿司が回転しているだけでなく、「ビッくらポン!」がある点で、エンタメ性ではくら寿司が優位といえる。デジローが他店舗にも本格導入したら、くら寿司側は脅威に感じるかもしれない。

ゲームの景品

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