ユニクロ×アニヤ・ハインドマーチの組み合わせは前述の通り、希少性がある商品となりました。通常、アニヤ・ハインドマーチはバッグのブランドですから洋服はありません。今回のコラボでは洋服があり、希少価値があります。
また、アニヤ・ハインドマーチのバッグは平均して10万〜20万円はする比較的高価なブランドです。そのブランドが「プレミアムラムクルーネックセーター」(3990円)、「ヒートテックニットグローブ」(1500円)など低価格で購入できるのです。「通常は高価なブランドが低価格で購入できるという価格メリット(後述する『価格ギャップ』)」は、明らかなベネフィットとなりました。
アニヤ・ハインドマーチにとっては、ユニクロのような世界トップクラスのチェーン店で販売されることで、新たな顧客層にブランド認知を広げられるメリットがあります。今回のコラボで、ブランドを知らなかった層にもその名前を広く伝えられたことでしょう。一方のユニクロは、通常は扱っていない人気ブランドのエッセンスを取り入れた商品を販売したことで、新たな客層の開拓とともに、ユニクロブランドの価値を高めることにつながりました。まさに、成功する条件を完全に満たしたコラボだったのです。
ユニクロのようなコラボは、アパレル業界では珍しい取り組みではありません。他のファストファッションブランドも、これまでさまざまなコラボを行ってきています。
これを見てお分かりの通り、ユニクロ以外の事例は「ターゲット限定型コラボ」が目立ちます。Z世代向けやラグジュアリーブランドなど、組む先を絞って展開しています。一方のユニクロは「総合型コラボ」です。コラボ先も新進気鋭のニューヨークブランドやメゾン系の有名デザイナーや人気アニメやアーティスト、また最近では出店地域の地元企業コラボTシャツを作るなど幅を広げています。
ユニクロのコラボは、さまざまなパターンの組み合わせを通してSNS内での評判を高め、幅広い客層へリーチさせていくことを狙っているのです。その結果、さまざまなコラボに取り組んできたことによる経験値の圧倒的な高さ、ユニクロそのものの影響力によってコラボがバズりやすくなっています。あらためて解説していきましょう。
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