「アニヤ・ハインドマーチ」コラボで混雑、行列、転売 なぜユニクロは有名ブランドに選ばれ続けるのか(3/5 ページ)

» 2023年12月25日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

ユニクロコラボ成功の秘訣(1)地道かつ豊富なコラボ経験

 ユニクロ成長の歴史は、さまざまなコラボを繰り返してきた地道なコラボの歴史でもあります。先日、ニューヨークに行った際に筆者が買ったのはユニクロのデザイナーコラボTシャツでした。「米国に行ってまでユニクロ?」と思われるかもしれませんが、他ブランドと比べて明らかにデザイン性が良く、価格も値ごろ(24ドル程度)だったからです。

 今でこそこうしたデザインTシャツやアニメキャラクターのTシャツが世界各国のユニクロで販売されていて人気ですが、昔はユニクロが世界的なデザイナーやクリエーターとコラボしたTシャツを販売するようになるとは思いもしませんでした。

 筆者が初めてユニクロ店舗に行ったのは1993年。まだ直営店が数十店舗のころです。「最近、カジュアルの安売りで人気の郊外店があるようだ」といううわさを聞いて、関西のある店舗を視察に行きました。当時コラボTシャツはなく、並行輸入のブランドTシャツが山積みになっていたのが印象的でした。まだ「世界のユニクロ」ではなかったため、コラボしようにもできなかったのです。

 ユニクロは、成長につれて自社のオリジナル商品が増加。さまざまな企業や人、店舗とのコラボも増えていきました。当初目立ったのは、国内のアーティスト(歌手、タレント、モデルなど)とのコラボです。セコムなどとの企業コラボ商品もありましたし、2004年にはファッション誌とのコラボも実現しました。同年はアテネ五輪の日本代表選手団公式服装をユニクロが初めて手掛けた年です。ある意味「最高のコラボ」のような取り組みが実現したといえます。これ以降、ユニクロはファッションブランドとのコラボレーションを強化するようになりました。

ユニクロが実施してきた主要なコラボ

 その後06年には、ニューヨークのソーホー地区に、当時最大規模となる1000坪の旗艦店舗を出店。CI(コーポレートアイデンティティ)を導入してロゴも切り替えました。同時にトップクラスのクリエイティブチームを結成することで「本質を研ぎ澄まし、世界に挑む」という決意をしています。「世界一のファッション企業になる」と決めた年といえるかもしれません。

 ソーホー店の中に「NY R&Dセンター」主導の商品を導入し、ニューヨークから世界へ発信するユニクロへとブランドスイッチを行いました。ニューヨークの最新ブランドとのコラボに始まり、世界的に著名なブランドとコラボがスタートしたのは09年。ジル・サンダー氏による「+J」からです。こうした地道な努力を積み重ねた結果、23年のアニヤ・ハインドマーチとのコラボで大ブレークを作り出しました。

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