ユニクロは今、最も注目されているブランドかもしれません。フランスや英国ではユニクロの「ラウンドミニショルダーバッグ」がミレニアル世代のバーキンと呼ばれるほど人気を集めています。その熱狂はITmedia ビジネオンラインの記事『令和のバーキン? ユニクロ「1500円バッグ」が英国で大絶賛 模倣品騒動も起きるほどヒットした背景』でも取り上げています。
ユニクロが今度は、他ブランドとのコラボ商品開発で大きな注目を集めています。これまでのコラボの歴史やファストファッションブランドのコラボ実態と比較しながら、ユニクロがコラボを成功させ続けている理由について考えてみましょう。消費トレンドを追いかけ、小売り・サービス業のコンサルティングを30年以上にわたり続けているムガマエ代表の経営コンサルタント、岩崎剛幸が分析していきます。
ユニクロは11月23日、英国ブランド「アニヤ・ハインドマーチ」とのコラボ商品「UNIQLO x ANYA HINDMARCH」を売り出しました。ユニクロ旗艦店舗などには早朝から行列ができ、ほぼ全商品が即日完売という状況でした。
この日はユニクロ感謝祭の初日で祝日。さらに「ちいかわ×サンリオキャラクターズ」とコラボしたキッズ向けルームウェア、高級スーパー「成城石井」とコラボしたショッピングバッグの発売も重なり、通常のセールでは見られないほど店内は大混雑していました。
特にアニヤ・ハインドマーチとのコラボは反響が絶大。実は発表直後からSNSなどで「かわいすぎる」「絶対欲しい」と話題になっていました(参考:WWD『ユニクロと「アニヤ・ハインドマーチ」コラボを詳報 SNSで「絶対買う」の声続出』)。
あまりにも反響が大きいため、全商品展開店舗数を51店舗減らし、20店舗に絞って発売しました。ユニクロは11月8日時点で全9タイプの商品展開を国内71店舗で販売し、一部商品は全店で扱うと公表していたのですが、生産数量の関係から品ぞろえが不十分で迷惑をかけるお客さんが増えそうだと判断したのでしょう。その結果、各店の行列が長くなったようです。あまりの反響の大きさに、11月29日〜12月3日にオンラインのみの予約販売という形で再販も受け付けたほどです。
今回のコラボでは、30〜40代女性に圧倒的な人気を誇るアニヤ・ハインドマーチを象徴する「目」のモチーフを取り入れたアイテムを、ユニクロのニットや帽子、手袋として販売。珍しい組み合わせであったことが商品の希少性につながり、爆発的な人気となりました。販売前から転売ヤーの出現を予想し、メルカリでは「販売価格が急騰する可能性があるため、冷静な対応を」と呼びかけるような一幕もありました。予想通り価格は急騰しましたが、今は落ち着いてきているようです。
筆者はコラボ商品がヒットするための条件としては「(1)ありそうだけどないもの」「(2)特徴はあるけど特殊でないもの」「(3)一言で語れるストーリー性があるもの」の3つを考えています。ユニクロとアニヤ・ハインドマーチのコラボは、まさにこの条件に見合った商品でしょう。さらに付け加えるならば「組み合わせ自体に希少性があること」「明らかな消費者ベネフィットがあること」「双方のブランド価値を高める組み合わせであること」も挙げられます。
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