ユニクロのコラボが注目されるようになったもう一つの理由は、同社の成長性と高い収益性にあります。
図表は、22〜23年における世界アパレルSPA(製造小売業)の売り上げトップ10企業の顔ぶれです。ユニクロを擁するファーストリテイリングはすでに世界3位。2位のH&Mが完全に射程圏内に入ってきました。コロナ禍で各社が実店舗を大量閉店する中で、ユニクロは店舗数を拡大させてきたことも要因でしょう。23年8月期末時点で、国内外に2500店舗弱を展開するまでに至りました。
ユニクロとコラボしたい有名ブランドが増えている最大の理由は、この店舗数の多さです。店舗数が少なければ販売拠点としての魅力が薄く、ブランド認知をさせることも難しくなるため、コラボの価値は低くなります。00〜02年ごろまでは業績の上がり下がりも激しく、国内での知名度は上がっていましたが、世界の一流ブランドからはまだ下に見られていた時期だと思います。
しかし、現在のユニクロは国内800店舗に対して海外1634店舗と、海外店舗が倍以上です。ユニクロとコラボするブランドにとって、グローバルに展開するユニクロの店舗に商品が置かれれば、プロモーションにもなり、ショールームの役割も果たします。販売手数料やブランド版権使用料など、大きなロイヤリティ収入も見込めるでしょう。自社のブランド資産を貸し出すだけで、大きな収益が確保できる見込みがあるのですから、有名ブランドがコラボしたくなるのも当然というわけです。
また、ファーストリテイリングの営業利益率は12%を超え、世界におけるアパレルのトップ5に入っています。収益力が高いということは、それだけ企業力が強いことを指します。コラボするブランドにとっては、相手方の経営が厳しくなる、あるいは退店が増えたり売り上げが悪かったりというニュースが出るだけでも、自社のブランド価値が棄損(きそん)するリスクがあるでしょう。この点でも、ユニクロは価値が高いのです。
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