「年収700万円」の人が住んでいるところ データを分析して分かってきたデータに隠された真実(2/3 ページ)

» 2024年01月02日 09時30分 公開
ビジュアルでわかる日本』(にゃんこそば、宮路 秀作/SBクリエイティブ)

 一方、東京都足立区や川崎市川崎区では 40%を下回っています。比較的規模の小さな住宅、商店、工場が混在し、東京近郊の中でも多様な街並みが見られる地域です。

 都心から離れたところにも「赤い」都市があります。東京都心から北東に50km、茨城県のつくば市は、1960年代から筑波研究学園都市として開発され、筑波大学や国立研究開発法人などの高度な教育、研究機関が集まっています。

 長野県軽井沢町も「赤い」ですね。軽井沢は明治時代から夏の避暑地として知られ、多くの文化人や財界人が別荘を構えてきました。1997年に新幹線が開通してからは都心で働く人の移住も増えていて、2020年現在、町内に住む勤め人の4%にあたる327人が東京都内で働いています。業種としては情報通信業(IT、マスコミ)、卸売業(商社など)、小売業が多くなっています。

 近畿圏も眺めてみましょう(図4)。真っ先に目に入るのが、兵庫県の東部に広がる赤いエリア。神戸市東灘区から芦屋、西宮、宝塚にかけての地域は大正時代以降、大阪の商工業者や文化人が別荘や邸宅を構える高級住宅地として発展してきました。

 京都府精華町も赤いですね。1980年代に作られた「けいはんな学研都市(正式名称:関西文化学術研究都市)」の一角に、大学や通信系の研究所があり、そこで働く人たちのための住宅地が整備されています。

 大阪府では全体的に青色が目立ちます。大阪は明治以降、繊維産業(製造、卸売)や金属、機械工業を中心に発展してきましたが、1970年代からはグローバル化(工場の地方、海外移転)や東京一極集中(本社の東京移転)の流れに逆らえず、経済が浮き沈みを繰り返しています。古く入り組んだ街並みは大規模な再開発が難しく、東京の湾岸エリア(港区、中央区、江東区など)のような「職場に近くて暮らしやすいベッドタウン」に生まれ変わるには、まだまだ時間がかかりそうです。

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