ダイヤが乱れたのに、なぜ新幹線は臨時列車を運行できたのか「余力」がない問題(2/4 ページ)

» 2024年01月07日 05時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]

「余力」があるから新幹線を運行できた

 新幹線は、最大でどれだけの列車が運行可能かあらかじめ設定されている。特に東海道新幹線は「のぞみ」をどれだけ詰め込めるかをダイヤ作成時に計算している。

 その他の新幹線でも東海道新幹線ほどではないにせよ、繁忙期に臨時列車をかなり設定できるようにダイヤを作成している。その上で、定期的に走らせる列車を中心に、その他の列車は必要に応じて走行するようにしている。

 車両についても、最も混雑する時期にどれだけ走れるかを基準に配備している。幸い、新幹線は高速なので、1日にかなりの距離を走ることが可能だ。

 人員についても、乗務員をそれなりの人数確保し、何かあったときのためにスタンバイしている人もいる。そういった「余力」を確保していたために、突発の臨時列車を走らせることができた。

 時間帯については、予約で既にいっぱいだった時間帯からずらし、線路に少しばかりの余裕がある時間を中心に走らせたため、このような臨時列車が可能だった。

ダイヤ作成時に「余力」がつくられている新幹線(画像はイメージ)

突発的な「臨時列車」の運行を想定したつくり

 そもそも、新幹線の線路には新幹線車両しか走らない(山形新幹線や秋田新幹線といったミニ新幹線を除く)。それゆえに、走行する車両の性能は基本的に一致する。

 このあたりで最も優れているのが東海道新幹線であり、全車両同一の走行性能で統一している。だからこそ、臨時列車を即時に出すことが可能で、さらに繁忙期でも高密度の「のぞみ」ダイヤが実現できるのである。何かあった際に突発的な臨時列車を出すことも、想定している。

 上越新幹線や北陸新幹線でも、車両性能の統一は実現できている。そういったもろもろの条件で、新幹線には「余力」が生み出されているのだ。

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