北陸新幹線は2015年に開業したばかりの路線で、車両も頑丈につくられている。また、幸いなことに同新幹線の線路は石川県内でも震源地から遠かった。それゆえ、地震発生の翌日午後には運行を再開できた。
一方、北陸新幹線より前からある私鉄の「のと鉄道」とJR七尾線は今回の大地震で大きなダメージを受けている。震源にも近く、構造物は古くて地震に対して脆弱(ぜいじゃく)だ。のと鉄道には「鉄道災害調査隊」が鉄道・運輸機構から送り込まれることが決まっている。
「のと鉄道」(出典:公式Webサイト)
年始に発生した地震や航空事故では、大量輸送の使命を果たそうとした新幹線などは「余力」がしっかりとしていたため、早急に対応ができた。特にUターンラッシュの状況にあっても、混乱を最小限に食い止めようとしたことは評価されるべきである。
近年、鉄道業界では列車の本数を削減し、窓口などの人員を減らす方針を取っている企業もある。何かあると駅は混乱し、多くの人が列をつくる。このあたりの「余力」を削減して、「ムラ」「ムダ」がないようにしたい事情も分かるが、鉄道業界はこれを機に再検討すべきではないだろうか。
23年8月末で営業を終了したJR恵比寿駅の「みどりの窓口」
何かあった際に混乱を起こさないようにする――。公共インフラ企業にとって、必要不可欠なことである。
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