「駅弁大会」なぜ人気? 逆風下でも百貨店のキラーコンテンツであり続ける理由宮武和多哉の「乗りもの」から読み解く(4/4 ページ)

» 2024年01月11日 08時00分 公開
[宮武和多哉ITmedia]
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バックヤードに潜入して分かる「京王の駅弁大会最強」の理由

 駅弁大会の中でも最大の開催規模を誇る京王百貨店の駅弁大会だが、隠れた強みは「駅弁業者・百貨店を挙げての応援体制」だ。新宿店の開店2年後から、もう60年近く年1回開催しているだけあって、店舗を挙げて開催を支える体制が整っているのだ。

 会期中には社員・アルバイトを含めて約1000人が駅弁大会に携わるという。催事を担当する部署以外にも多数の応援を仰ぐそうで、さまざまな部署の方が連携を取りつつ会場の運営に全力を挙げるという光景が見られた。部署や職位を問わず、京王百貨店が一丸となって駅弁大会を支える様子が、ここでも伺える。

駅弁 輸送駅弁のブース。全国各地から、飛行機・新幹線などで商品を輸送する

 また、駅弁業者にとっても京王の駅弁大会は特別な存在だという。1月初旬という開催時期は各地の駅弁大会のトップバッターでもあり、秘めていた新商品を投入する絶好のタイミングでもある。そして、業者と百貨店の付き合いも長く「忙しくても、京王さんに誘われたら受ける!」という場合も多いのだとか。

 駅弁大会の開催に当たっては、京王百貨店の親会社・京王電鉄の新宿駅などが開催告知のポスターで埋め尽くされるなど、グループの強みを生かしたプロモーションが展開される。しかしそれ以上に「駅弁業者・百貨店が一丸となって開催への体制を構築できる」のが、京王百貨店の駅弁大会の強みではないか。

 59回目の「京王の駅弁大会」は、過去最大となる47の駅弁調製元が実演ブースに出店。地方から輸送される分を含めると、約350種類の駅弁や、「うまいもの」(各地の特産品)を販売するという。今年はどのような味との出会いがあるのだろうか。

宮武和多哉

バス・鉄道・クルマ・駅そば・高速道路・都市計画・MaaSなど、「動いて乗れるモノ、ヒトが動く場所」を多岐にわたって追うライター。幅広く各種記事を執筆中。政令指定都市20市・中核市62市の“朝渋滞・ラッシュアワー”体験など、現地に足を運んで体験してから書く。3世代・8人家族で、高齢化とともに生じる交通問題・介護に現在進行形で対処中。

また「駅弁・郷土料理の再現料理人」として指原莉乃さん・高島政宏さんなどと共演したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」(既刊2巻・イカロス出版)など。23年夏には新しい著書を出版予定。

 noteでは過去の執筆記事をまとめている。


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