次は(1)よりも、もう少しシンプルな状況です。目標はある程度妥当に設定されていたけれど、適切ではない営業戦略に向けて必死になってしまったようなパターン。例えば、重要な意思決定者と見込んで必死にアプローチを続けていた顧客のカウンターパートが、実は権限も発言力もなかった……などが例として挙げられます。
このパターンでは営業メンバーの経験値によって少しコミュニケーションが変わります。まだ経験が浅く、適切な営業戦略を立てるだけの知見がないようなメンバーの場合、そもそも筋の良い営業戦略の立案を期待すること自体に無理があります。ここではマネジャーであるあなた自身が少し反省をして、より良い作戦を立てるための方法をメンバーと一緒に考えてみることをお勧めします。
一方で、ある程度経験があるメンバーの場合、彼らの主体性を尊重しつつ、見誤ったポイントを明らかにして改善を促さなければなりません。彼らの経験値を生かすためには、あまり細かいところには口を出しすぎず、一方で営業戦略の失敗を正しく認識してもらい、彼らに足りなかった視点を加えるようなコミュニケーションを心がけてみましょう。
最後に、あまり現実には起きてほしくない未達要因についても簡単に触れておきましょう。目標も、そこに至るための適切な手法も設計されていたにもかかわらず、営業メンバーがそれを実行に移さなかったパターンです。
過去の記事で触れたように、単なる怠惰で活動量が少なかったパターンももちろんあり得ます。ただ、一般的には心情的、あるいは身体的、外的(家庭の事情や体調など)な制約があり十分な時間を営業活動に割けなかったために目標を達成できなかったというケースが多いと考えて良いでしょう。
こんな場合、営業メンバー自身に活動量が足りなかった自覚があるかどうかをまずは見極めましょう。自覚がない場合は、自認を促すことから始めましょう。厳然とした姿勢を見せることも一定必要になります。自覚がある場合には、彼らの抱えている気まずさに一定の配慮を見せつつ、このような状況が一時的なものなのか、リソースの再配置を含めて検討すべきかどうかを見極めることを目標にコミュニケーションを取ると良いでしょう。
いかがでしたでしょうか。一口に「未達メンバーのコミュニケーション」といっても、要因によって目指すものが変わることをお分かりいただけましたら幸いです。
いずれの要因の場合でも、要因に対して仮説を持ち、メンバーの前向きな姿勢を維持しつつ状況を改善する方法を探るための、バランスの良いコミュニケーションを心がけることが大切かと思います。
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