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“目標未達の部下”にNGな声かけは? 営業マネジャーが目標達成に向けてすべきこと営業コミュニケーション大解剖(1/2 ページ)

» 2024年01月11日 08時30分 公開

 営業マネジャーならば誰しも、チームの全員が営業目標を達成することを目指して日々の業務にあたっていると思います。しかし、そのような理想的な落着にたどり着けることが稀(まれ)であることもまた、よくご存じかと思います。

 そのような状況においては、未達だったメンバーとのコミュニケーションこそがチームをより良くするために大切であることは間違いありません。一方で、営業マネジャーの皆さんと話していると、未達の要因を問わず「叱る」「励ます」のいずれか一辺倒なコミュニケーションを取っている人も少なからずいるようです。

営業目標が未達だった部下、どんなコミュニケーションを取るのが適切か?(画像:ゲッティイメージズより)

 しかし、営業未達の要因は必ずしもチームメンバー本人に由来しない、例えばメンバーの担当顧客の業績悪化に伴う予算削減などもあります。そのような要因をきちんと理解しないままにむやみに叱ったり励ましたりすると 「自分のせいじゃないのに……」とメンバーのモチベーションを下げてしまいかねません。

 未達のメンバーとのコミュニケーションは実に繊細で、メンバーの本来の実力を引き出すも殺すもマネジャーの腕次第です。この記事では、皆さんがチームの力を最大化するためのヒントとなるような、3つの未達の要因に応じたコミュニケーションについてお話していきます。

(1)目標数値の設定が適切でなかった

 目標数値の適切さを判断すること自体がとても難しい問題なのですが、とはいえ営業メンバーから見てどう考えても無茶な目標になっているケースは厳然として存在します。

 例えば、新規性の高い商材は、昨年対比などの一般的な目標設定手法を取りづらく「えいやっ」と思い切った目標が設定されがちです。しかし、思ったほど顧客の需要がついてこなかったり、そもそも社内の提供体制が整わなかったりといった、営業メンバー本人がどう頑張っても乗り越えられない壁に直面した結果、成績未達に終わるようなことがあります。

 このようなケースでは、「モチベーションを下げず、しかし他責になりすぎず、前向きに次の目標に向かう」ようにメンバーを促すことが重要です。単純に「目標設定が悪かったね。ごめん」というだけでは、会社や上司であるあなたへの不信感が募るだけです。一方で「もっと頑張れたね」と叱ったり励ましたりするのは、営業メンバーの不満感を解消させるどころか、強めてしまう可能性すらあります。

 このような状況で求められるのは、部下とワンチームになって状況を把握し、「どの部分は営業自身でも取り組める範囲で、どの部分は個人ではどうしようもなかったのか」の解像度を高めるプロセスを一緒に踏むことです。営業メンバー本人と同じ目線に立って責任に向き合うことで、不信感と不満感を和らげつつ前向きな気持ちで次の期を迎えられるように、通常以上に念入りにヒアリングをしたり、状況を分析する時間を取ったりしましょう。

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