本物の人間のように、いや、本物の人間以上に論理的に回答するAIクローン。一体、どのような技術で作られているのか。
米倉CEOのデジタルクローンの作成を可能にするのは、オルツが開発した独自のAI「CLONEdev」(クローンデブ)。実在する個人の性格や特性といった情報を学習するAIだ。
クローンデブは、同社が2023年2月に開発・発表した大規模言語処理モデル「LHTM-2」を基盤としている。これに個人のライフログ情報を入力することでAIクローンが作製される。
クローンデブの他、同じくLHTM-2を基盤としたノーコード生成AIプラットフォーム「altBRAIN」(オルツブレイン)を用いて、全社員のクローンAIも作製している。
例えば、米倉CEOやオルツ社員それぞれのAIクローンであれば、業務に用いるチャットツールSlack上のテキスト情報やミーティングの議事録・音声データ、業務上の行動ログなど、個人にひも付くさまざまな情報を永続的に学習させる。より人間的なコミュニケーションの実現を目指し、個人の趣味や嗜好なども学習させている。
では、クローン社員はリアルな社員のどのような業務を代行するのか。米倉CEOが現在、自身のAIクローンに主に代行させているのは、採用業務だ。
一次面接は全てAIクローンが代行する。専用の画面上で、米倉CEOのAIクローンが応募者の履歴書内容に合わせて質問をする。面接の様子は録音・録画し、言語処理して内容を抽出。要約した上で人事担当者に情報を送る。人事担当者は録画した動画や要約した文章を基に面接の通過可否を判断する。
現在、同社では応募者が月次で約1000人に上り、「人間だけでは到底対応しきれない」(米倉CEO)。他にも、人材紹介会社からの問い合わせ対応や、プレス関係者との事前コミュニケーションを代行させるなどしており「自身の業務の5割ぐらいをAIクローンがカバーしている」と米倉CEOは話す。
社員の間では、とりわけ営業職においてAIクローンを活発に利用しているという。例えば顧客対応。自身の営業プロセスなどをAIクローンに学習させれば、クローン社員が顧客からの問い合わせに対応し、製品やサービスの説明を行うことができる。リアルな社員が休暇中にも、突然の顧客からの問い合わせにも対応できる。
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