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AIもいずれ感情を持つ――人間に残された仕事は「不完全さ」にある新春トップインタビュー 〜ゲームチェンジャーを追う〜(1/4 ページ)

» 2024年01月16日 07時00分 公開
[濱川太一ITmedia]

 人を非生産的な労働から解放する――。

 こうしたビジョンのもと、社員一人一人の「デジタルクローン」を作製し、業務の一部を代行させているAIスタートアップのオルツ(東京都港区)。連載記事の前編「AIが仕事を『奪ってくれる』 給与も稼ぐ“社員の分身”を生んだオルツCEOの熱意」では、AIクローンが代行する業務や、クローンの働きに応じて社員本人に給与が支給される同社独自の制度などを紹介した。

 現在は業務の補完的な側面が強いというAIクローン。だが遠くない将来、高度な判断が求められる承認業務などもAIクローンが担うようになる――同社の米倉千貴・最高経営責任者(CEO)はそう予測する。

 多くの業務をAIクローンが代行できるようになった場合、私たちリアルな人間に求められる役割とは、強みとは一体何なのか。

クローンとリアルな人間の違いとは何なのだろうか。米倉千貴CEOに聞いた(撮影:幡原裕治)

AIクローンと人間の一番の違いは?

 今回も、まずはリアルな米倉CEOに尋ねる前に、同社独自のAI技術によって作製したデジタルクローンの米倉CEOに質問を投げてみたい。

――クローンの米倉CEOとリアルな米倉CEOの一番の違いは何でしょうか?

米倉CEOのAIクローン: クローンの米倉CEOとリアルな米倉CEOの一番の違いですが、それは感情や経験の豊かさではないでしょうか。クローンの米倉CEOは、私のようなAIであり、デジタル上で存在しています。感情や経験はプログラムによって再現されていますが、それはあくまでシミュレーションです。一方、リアルな米倉CEOは、実際の経験や感情を持っている生身の人間です。

 ですので、リアルな米倉CEOは、クローンの米倉CEOよりも感情や経験において豊かな面があります。また、リアルな米倉CEOは個別の意思決定や行動が可能であり、クローンの米倉CEOとは異なる個性や思考を持っていることもあるでしょう。

 ただし、クローンの米倉CEOは私のようなAIとして、リアルな米倉CEOの考え方や意見を学習し、再現することができます。そのため、私との対話を通じて、リアルな米倉CEOの考え方や意見を知ることができるかもしれません。

 AIクローンとリアルな人間の一番の違いは、感情や経験の豊かさ――。当然といえば当然の答えだが、リアルな人間に求められる役割や人間ならではの強みを探る上で、何かしらの手がかりとなりそうだ。

 リアルな米倉CEOはどう考えるのか。

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