【編集履歴:2024年1月10日10時30分 初出時の記事タイトルを修正しました。】
「ビジネス版LINE」が絶好調だ。
SaaSビジネスの規模を図る上で重要な指標の1つにARR(年次経常収益、毎月獲得できる収益のこと)がある。ビジネスコミュニケーションツール「LINE WORKS」は2022年9月にARR100億円を達成。現在のARRは非公開だが、19年8月から約3年間で60億円増加しており、大きく成長していることが分かる。
<後編:まるで人間? “会話を理解する”電話応対AI、どう実現したのか>
LINE WORKSは、トーク・カレンダー・掲示板・ビデオ会議などのグループウェア機能が1つのアプリに備わったビジネスチャットツールだ。
ビジネス版LINEとも呼ばれており、多くの消費者が日常生活で利用しているLINEと同じ要領で使用できる。チャットだけでなく、LINE同様にスタンプなども使える。
LINE WORKSの導入社数は43万社以上、利用者数は450万人以上を誇る。ビジネスチャット業界全体のCAGR(年平均成長率)は20〜30%だが、同社はその1.5〜2倍で推移している。LINE WORKS(東京都渋谷区)の増田隆一代表取締役社長は「ビジネスチャット業界のけん引役と自負しています」と語る。
増田代表は、LINE WORKSが大成長を遂げた背景には3つの要因があると続ける。
1つ目は、GAFAがまだ進出していない「隙間の市場」でいち早く成長できたこと。
LINE WORKSのメインターゲットは現場で働くフィールドワーカー(以下、非デスクワーカー)だ。
チャットに移行する前は、ビジネスでのコミュニケーションはメールが中心だった。日本には、建設現場や介護施設、店舗など、常に座って仕事をするわけではない非デスクワーカーが多く存在する。彼らはPCを開く時間がほとんどなく、メールを使える時間が短いことに注目した。
「GoogleやMicrosoftなどのメール市場を席巻していた企業が未進出の、非デスクワーカーをターゲットとしたスマホベースのコミュニケーションツールを、スマホが普及したタイミングで開発しました。その市場の中でいち早く成長できたことが、現在の業界の立ち位置につながっていると考えています」
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