「鉄扉」の奥で2年間、家族にも口外禁止 「共通テスト」ができ上がるまでの秘話(1/3 ページ)

» 2024年01月12日 10時48分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 13日と14日に実施が予定されている大学入学共通テスト。問題作成は大学入試センター(東京都目黒区)の一角、限られた人しか立ち入りを許されない扉の奥で行われている。携わるのは全国から集められた大学教員ら専門家たち。正確さや公平さに神経をとがらせる一方で、人気キャラクターを題材に使うなど出題には工夫をこらす。47万人の受験生が向き合うテストができ上がるまでの2年間に迫る。

photo 令和5年の大学入学共通テスト=東京都文京区の東京大学

 問題作成はセンター内の特定の建物内でのみ行われている。入り口には職員から「鉄扉(てっぴ)」と呼ばれている重厚な扉。その奥は問題作成に関わる人でなければセンターの職員でも立ち入ることは許されない隔絶された空間だ。パソコンやスマートフォンは手前のロッカーに預ける仕組みで、作業用のパソコンも外部のネットワークに接続できないように設定されているという。

 漏洩(ろうえい)に対するリスク管理は徹底されている。家族に受験生がいると委員になることはできず、問題作成に携わっていることは家族や職場にも口外を禁じられる。万が一、輸送中のトラックが交通事故に遭うといった場合を想定し本試用や追試用とは別の「第3のセット」まで用意されているいう。

 問題作成の期間はおよそ2年間。今年の問題作成には約790人が作業にあたったという。委員たちは本業の傍ら、年間約45日程度は鉄扉の奥に詰めて作業に従事する。

       1|2|3 次のページへ

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.