日産撤退後も残った日本の「技術と心」 スペイン・バルセロナで進む電気自動車新プロジェクト(1/3 ページ)

» 2024年01月15日 10時39分 公開
[産経新聞]
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 欧州でも有数の自動車産業があるスペイン。その中心地、バルセロナにかつてあった日本の大手自動車メーカー・日産の工場跡地を、電気自動車の新たな生産拠点として蘇らせようというプロジェクトが進んでいる。プロジェクトの中枢にいるスペイン人技術者は、日産時代に培った技術と心を糧に、新たな時代へと踏み出そうとしている。

そこかしこに痕跡

 昨年12月中旬、スペイン第2の都市バルセロナ中心部から自動車で数十分に位置する約30万平方メートルの広大な敷地。2年前まで、日産の一大生産拠点だった工場の跡地だ。

 現在ではすべての生産ラインが停止し、当時の自動車部品が放置されたままの場所も。工場内のところどころには「NISSAN」のロゴが残り、往時をしのばせる。

 「1998年から日産で働いた。素晴らしい経験だった」

 こう語るのはリカルド・カロンジャ氏。約23年間、日産で働き、同工場で新たに始まるプロジェクト「D−Hub(ディーハブ)」ではエンジニアリングディレクターを務める。

 新プロジェクトは、バルセロナにある2つの自動車メーカーQEV(キューイーブイ)とBtech(ビーテック)が、旧日産工場を利用して電気自動車の生産を始めようというもの。

 この2社以外からの受注も目指しており、年間計約23万台の生産が可能なこの工場で、今年から順次スタートする見込みだ。

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