実質賃金が20カ月連続でマイナスとなり、消費者の懐事情はかなり厳しい状況に追い込まれつつある。なかでも所得が少ない層にとって、生活必需品である食品の値上がりにより、世帯支出に占める食品の割合が大幅に上昇。他に割ける予算が乏しくなった。
そうした環境下で消費者ができる対策は限られており、安い店を選んで買い物するのも重要な手段となっている。フード&ドラッグはこうしたニーズの受け皿として、これまで以上に地域住民の支持が集まり始めているようなのである。図表3は上場フード&ドラッグ3社の売上動向を食品スーパーと比較したものだが、3社がスーパーを大きく上回っていることが分かるだろう。
また、図表4はコスモス薬品の食品売上だけを抽出。その増減率の推移を表したものだが、最近になって急速に伸びていることが分かる。生活必需品であり、簡単に買い物の量を減らせない食品に関して、消費者は安く買える店としてフード&ドラッグの利用を増やすという方向に向かっているのだろう。
食品に人手をかけて、よりよい商品や品ぞろえを提供することを目指しているスーパーにとって、食品を集客商材と見なして薄利で提供するフード&ドラッグはとても嫌な存在だ。フード&ドラッグ各社は出店スピードも速く、次々と店勢圏を拡大。価格転嫁と運営コスト上昇に苦慮している食品スーパー業界に与える影響は、これまで以上に増しているようだ。
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