林さんは「今の学生は自分たちのことだけではなく、親の将来や、祖父母の介護なども視野に入れて就職先を決めているようだ」と話す。
昨今「オヤカク」(親確)という言葉が広がりつつある。企業側が内定を受諾した学生に対して、自社に入社することを親から承諾してもらっているか確認する行為を指す。親と子の関係性が近くなっている昨今の状況を踏まえ、同社でも内定者には同様の確認を取るようにしているという。
今回の会社イベントに参加した内定者や保護者たちはどのような感想を持ったのか。
内定者の女性は「会社の資料を見せながら話すよりも、実際に社内を見てもらうことで親にとっては安心材料になったのでは」と話した。
札幌市から参加した内定者の母親は「もう社会人なので、息子が決めたことだから喜んで送ってあげたいという気持ち。IT企業は冷たいイメージがあったが、人間的な温かさを感じた」と話した。内定した男性は「一人親の母の元を離れて東京に出るのは少し心配だったが、安心してもらえてよかった」と笑顔を見せた。
「親子就活」という言葉だけ見れば「親が干渉しすぎでは?」「子どもが自立できていないのでは?」といった批判が聞こえてきそうだが、実態は必ずしもそうではないようだ。
人材確保が容易ではない時代、企業は単に学生にアピールしているだけでは足りないのかもしれない。若者の価値観や親との関係性などを踏まえた、緻密な採用戦略が求められているといえそうだ。
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