“クルマ”が空を行き交う世界は実現するのか 人類の願いに際限はない(3/4 ページ)

» 2024年01月23日 09時23分 公開
[産経新聞]
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1970年万博にはEV登場

 乗り物は日常生活に身近で便利さを実感しやすいだけに、技術革新が大きな注目を集める。

 ガソリン車が当たり前だった1970年。大阪万博の会場では、計275台の電気自動車(EV)が登場した。最高時速はわずか15キロながら、タクシーとして来場客を乗せ、警備や食料運搬にも使われた。

 大気汚染が社会問題だった当時、ダイハツ工業が排ガスや騒音のない車を目指し他社に先駆けEV開発に着手していたのだ。万博に納入したEVは世界中からの来場客に日本の技術力とともに近未来の社会を体感させた。

 ダイハツ工業は1970年大阪万博後も電気自動車(EV)開発を続け、新聞配達車やゴルフカートを発売した。だが量産は難しくEV開発は縮小。担当者は「鉛蓄電池のコストが高く採算が取れなかったようだ。早すぎる技術だったかもしれない」と振り返る。

 そして今、小型化・軽量化や急速充電が可能なリチウムイオン電池を搭載するEVの開発競争に日米欧中のメーカーがしのぎを削っている。2025年大阪・関西万博にもEVが登場。大阪メトロは、会場内で運行するEVバスの35台中4台を、システムによる完全な自動運転「レベル4」とする。

 25年万博には空飛ぶクルマ、自動運転EV、水素を燃料とし、運航時に二酸化炭素(CO2)を出さない水素燃料電池船なども姿を見せる。1970年万博に登場したEVや「動く歩道」はその後、実用化された。2025年万博の「未来の乗り物」は普及するのか。

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