昨年12月、大阪府八尾市の商業施設で、空飛ぶクルマの実機の展示やVR(仮想現実)機器を使った飛行体験を実施。多くの市民が詰めかけ関心の広がりがうかがえた。
だが、万博を機にどこまで実用化するかには課題も多い。
万博での運航事業者4グループの1つ、丸紅は万博にあわせての商用運航を断念し、操縦者のみで客を乗せない「デモ飛行」とすることを決めた。空飛ぶクルマは航空法の規制対象で、商用化の前提となる量産には機体の安全を担保する「型式証明」を取得しなければならないが、技術確立が間に合わないためだ。
開発中の充電設備についても、空飛ぶクルマは機体の統一規格がまだないため、個別の機体とのすり合わせが必要。重すぎず航続距離を稼げる電池の開発も不可欠だ。
人々の“意識改革”も求められる。八尾市で実機を展示した開発メーカー、テトラ・アビエーションの新井秀美取締役はこう指摘する。
「普及には、頭上の低い高度を飛ぶことを市民が受け入れる『社会受容性』が課題となる」
パナソニックホールディングスの宮部義幸副社長は、中学生のとき1970年万博の会場で見たワイヤレステレホンに衝撃を受け、職業の選び方が左右された。
宮部氏は未来の乗り物の展望をこう語る。
「万博は未来への大きなビジョンを示し、その方向へ切磋琢磨(せっさたくま)していくきっかけを得る場。実現に向かって社会が動いていくことが大切だ」
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
Special
PR注目記事ランキング