例えば、今回もメディアがうれしそうに報じている「マックが相次ぐ値上げで客離れ?」「マックからモスに客が流れるのでは?」というニュアンスのタイトルを付けた記事も、とにかくマックの悪口を言ってスッキリしたい人のニーズに応えた「偏向報道」だ。
マックは23年1月、全体の約8割の商品で10〜150円の値上げを実施した。7月には東京都や大阪府、愛知県など3大都心部を中心とした184店舗で最大90円値上げしている。
この2回の値上げで一気に客が離れ、そこに今回の値上げがダメ押しになる、というのがメディアが組み立てている「ストーリー」だ。確かにセールスリポートを見ると、22年12月までは順調に前年比プラスで推移していたのが、23年度第1四半期(1〜3月)になると前年比プラス0.1%となり、第2四半期にはマイナス3.5%と大きく客数を下げる。そこから少し持ち直したが、最終的には23年度は「マイナス1.5%」で終わっている。
確かに、ここだけ見ると「マックは調子に乗って、値上げを続けたことで客離れが起きている」というストーリーが成立するような気もする。
ただ、他を見ても同じようなものだ。モスは23年3月に値上げを発表してから4月の既存店客数が前年比97.4%に落ち込んだ。その後も前年比マイナスが続く。上期(4〜9月)は同100.5%に到達したが、現時点で下期は同97.4%だ。
しかし、「モスは値上げで客離れ」という話はほとんど聞かない。ライバルで同じような現象が起きているのにこちらはスルーで、なぜマックだけは鬼の首を取ったかのように批判されるのか。
そのあたりのメディアの不平等さについては、筆者は以前より指摘させていただいており、5年くらい前には「モス食中毒は静観!?マック異物混入は叩いたマスコミ『豹変』の理由」(ダイヤモンドオンライン 18年9月20日)といった記事も書いている。
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