マクアケのデータを使って融資を判断します 池田泉州HDがデジタルバンク「01Bank」設立事業性融資に特化(1/2 ページ)

» 2024年02月02日 14時23分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 池田泉州ホールディングス(HD)は2月1日、事業性融資に特化したデジタルバンク「01Bank(ゼロワンバンク)」準備会社を設立したと発表した。クラウドファンディング事業者のマクアケなどと連携し、提供を受けた法人顧客のデータを用いて独自の与信モデルを構築。決算書不要で当日実施可能な融資を実現するという。

 01Bank社長には、横浜銀行の元代表取締役だった伊東眞幸氏を招聘(しょうへい)した。「決算書のようなかつての実績で評価するのではなく、今のビジネスの実態をしっかり見てほしいという声が、顧客から最も多かった」と、伊東氏は事業性融資の実現に期待する。

01Bankのトップに就任する伊東眞幸氏。横浜銀行の代表取締役を務めた

 一般的な銀行の融資は、決算書の内容と保証人および担保の内容によって実行の可否を決める。対して事業性融資は、事業内容や成長可能性も評価して行う融資を指す。

 不動産や設備を持たないスタートアップの資金調達方法として期待されているが、事業性融資の難易度は高い。これまでの銀行で主流だった、決算書と担保を中心に考える通常融資とは考え方が大きく異なるからだ。事業の成長可能性を評価できるスキルの育成も容易ではない。

 さらに事業性融資の判断をデータに基づいて行う点も簡単ではない。銀行口座の入出金データをAIを用いて分析し与信判断を行うトランザクションレンディングは、一時期、銀行やフィンテック事業者の参入が続いたが、事業化がうまくいかず撤退も相次いだ。

 伊東氏は、マクアケなどのプラットフォーマーとの連携が従来との最も大きな違いだとした。「一般的な事業性評価とは違い、(マクアケなど)プラットフォーマーのデータをもとに、タイムリーに実態を把握する。またプラットフォーマーから得られるビジネスの裏付けとなるデータが、信頼性の高いエビデンスとなる」

プラットフォーマーには、法人向けのSaaSを提供する12社が名を連ねる

 現在、マクアケのほかクラウド在庫管理SaaSを提供するzaicoなど、12社がプラットフォーマーとして名を連ねる。01Bankによると、100社程度の法人向けクラウドサービス提供者と交渉中で、いかに多くのプラットフォーマーと連携できるかが成功のカギだという。

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