きっかけはパソナ 話題の店と有名シェフが淡路島に集結 「美食観光」ニーズが追い風に長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)

» 2024年02月03日 05時15分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

社員30人が移住 コロナ禍の集中出店でも好調

 GARB COSTA ORANGEが人気になると、せっかくなのでお酒も飲みたいといったニーズも増えてきた。飲酒すると車は運転できないので、宿泊できる場所がほしいとも要望があった。そこで20年7月、すぐ近くにKAMOME SLOW HOTELをオープンした。全16室がオーシャンフロントで、室内にあえてテレビを設置せず、代わりにレコードプレーヤーとアナログレコードが置いてある。リゾートに来たのなら、日常を忘れて、ゆったりしたときを過ごしてほしいという提案だ。

KAMOME SLOW HOTEL

 21年6月には「中華そば いのうえ」をオープン。屋台をコンセプトとし、シンプルなしょうゆラーメンを提供する。店舗デザインには、淡路島出身である大地真央氏の夫で世界的インテリアデザイナーの森田恭通氏を起用。同店はフランスのデザイン表彰「DNA Paris Design Awards 2022」で特別賞を受賞した。

デザイン表彰も受けた中華そば いのうえ

 21年8月には回転寿司「淡路島 回転すし 悦三郎」を出店。淡路島の水産会社・森水産との共同事業で、獲れたての地魚をふんだんに使った寿司を提供する。地元の人にも人気が高い、ありそうでなかった店でよく行列ができている。22年4月には、地元の住民に人気の焼きたてパン専門店「ローカル湯だねパン しまのねこ」もオープンしている。

淡路島 回転すし 悦三郎では淡路島地魚の握りが充実している
淡路サーモン(サクラマス)の握り

 これら以外にも、BBQやグランピング施設などもあり、バルニバービが淡路島で展開する店舗は、現在23店に及ぶ。1店目であるGARB COSTA ORANGE以外は、全てコロナ禍の3年間で集中的にオープンした。

 バルニバービでは社員の30人が移住。家賃不要の社宅を完備しているが、自分で賃貸を探す人には月に2万円の家賃補助もある。井上氏は「淡路島の人たちは新しいものが好きで、次に何ができるのか、楽しみにしてくれている。混まない雨の日にも来てくれる。彼らにとってオレンジのサンセットは日常のことで、毎日見ているから、わざわざお店で見なくても良いからかもしれません」と笑った。

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