きっかけはパソナ 話題の店と有名シェフが淡路島に集結 「美食観光」ニーズが追い風に長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/6 ページ)

» 2024年02月03日 05時15分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 兵庫県の淡路島は近年、大阪・神戸・京都といった関西の大都市圏から日帰りできるリゾート地として、人気が上昇している。休日には神戸と淡路島を結ぶ明石海峡大橋が渋滞して、渡るのに時間がかかる日も珍しくない。

淡路島が「美食の島」として勢いを見せている(写真はのじまスコーラ)

 特に著しく発展しているのは島の北部、淡路市内の西海岸、播磨灘に沈む夕陽の美観から「淡路サンセットライン」と呼ばれる、県道31号線沿いだ。北から、野島地区にはパソナグループが経営するレストランと劇場などの複合施設「青海波」、サンリオと提携したレストラン・ショップなどの複合施設「AWAJI HELLO KITTY APPLE LAND」などがある。

青海波に入居しているレストラン「青の舎」

 尾崎地区には「幸せの階段」「幸せの鐘」といったSNS映えするスポットを備えたマジア東京(大阪市)が経営する「幸せのパンケーキ本店 淡路島テラス」がある。郡家地区には、大阪の南船場発祥で、京阪神や東京の都心部でカフェを中心に経営してきた外食企業バルニバービ(東京都港区)のレストラン「GARB COSTA ORANGE」、ホテル「KAMOME SLOW HOTEL」などが集まっている。

幸せのパンケーキ 本店 淡路島リゾート

 いずれの施設もオーシャンビューを売りにしており、神戸中心部の三宮からアクセスできる。車を運転しなくても、最も遠い郡家地区でも高速バスに乗れば約1時間でアクセス可能である。しかも、各店舗のすぐ前に「野島大川(青海波前)」「幸せのパンケーキ前」「ガーブコスタオレンジ前」といった停留所が設けられ、島の地理に疎くても簡単にアクセスできる。パソナグループの商業施設は淡路市内に分散しているが、各施設を結ぶ無料のシャトルバスや、市内を循環するコミュニティバスも運行されており、観光に活用できる。

世界で「美食観光」がトレンドに

 食をメインの目的に旅行をする「ガストロノミーツーリズム(美食観光)」が、世界的に盛んになっている。日本ガストロノミー協会会長でガストロノミーツーリズムの推進者・柏原光太郎氏は、著書『「フーディー」が日本を再生する! ニッポン美食立国論――時代はガストロノミーツーリズム』(日刊現代、2023年)で「美味しいものを求めて世界中を旅する人のことを『フーディー』と呼ぶ。いま世界中のフーディーたちは日本の美食に熱い視線を注いでいる。地方の優秀な料理人とその料理をもっと広めていけば、日本は世界からフーディーを呼び寄せる国になるはず」と綴っている。

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