もちろん、ワークマンの経営陣もそれはよく分かっているはずなので、ちまたで言われる「職人軽視批判」などそれほど気にしていないだろう。
むしろ、喜んでいるかもしれない。ワークマンというブランドが、「吉幾三さんがCMに出ていた作業着の店」というイメージから大きく変貌を遂げて、新たなステージに立ちつつある証左だからだ。
ブランドが時代の変化に合わせて、さらなる飛躍を遂げる時というのは必ずと言っていいほど、「これまでの顧客を切り捨てるのか」「昔馴染みの客が入りにくくなった」なんて感じで、やることなすことクレームをつけるような「変化を拒む人たち」が現れることが多い。
彼らはとにかく「現状維持」こそが素晴らしいという考えなので、新しいチャレンジや新しい客が増えることも否定的だ。自分が長く応援してきたアイドルやマンガが注目を集めて「国民的人気」になると、急に寂しくなってしまって「昔の方がよかった」とか急にアンチになるファンもいるだろう。あれとちょっと似ている。
分かりやすいのは、マクドナルドだ。
忘れている人も多いだろうが、日本マクドナルドは2014年8月1日より全店舗(当時3135店舗)で屋内禁煙とした。東京オリンピックの開催をきっかけに、飲食店の受動喫煙防止対策が義務化されたのは20年なので、外食チェーンの中でかなり先進的な取り組みだった。
背景には「お子様連れを含む全てのお客様によりきれいな空気と健康に配慮した店舗環境」(日本マクドナルドCSリポート 2017)という目標を掲げていたワケだが、これが「喫煙者軽視」だと大炎上した。
今では想像できないだろうが、この時代のマクドナルドはまだパーテーションで仕切っただけの喫煙席でタバコをスパスパ吸えた。スタバなど禁煙を打ち出すところが増えている中で、「愛煙家御用達ファストフード」だったのだ。
「仕事の合間に一服するために寄っていたが、もう行かない」「近所のマックはコーヒーとタバコを吸っているサラリーマンだらけだ。もう終わったな」というような批判コメントが殺到し、マクドナルドが経営危機に陥るなんてことを予測する経済評論家までいた。
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