時代はRevOpsへ。成果を上げるマーケティングとセールスが連携する仕組みとは
【開催期間】2024年1月30日(火)〜2月25日(日)
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ツールを導入してマーケティングを強化する企業が増えている一方で、思い通りの成果を出せないと感じている企業が多いことも事実だ。セールスとマーケティングを連携することで、売上に貢献する仕組みづくりを解説する。
“売上高1兆円”を狙う大塚商会が今、AIとDXに注力している。
2月7日から9日にかけて都内で開催した総合展示会「実践ソリューションフェア2024」では、同社が手掛ける最新のIT製品やサービス、サポートを紹介した。今年のテーマは「AIではじまる、DXのあたらしいかたち。」だ。
開会式では大塚裕司社長がこう話した。
「大塚商会は2000年に東証一部に上場をし、01年に私が社長を引き継ぎました。その後、社員数も増えていったのですが、社員数の伸びよりも収益が高くなることを意識しながら改革を進めてきました。改革の始まりは1993年度でした。今のDXに通じる、それぞれのデータの一元化を進めてきました。そして、このデータをどの形でも分析できるように対応しています」
同社は90年代という早い時期からDXを進め、営業の効率化を進めてきたのだ。
「ITを駆使して社内の仕組み作りを進めてきました。私が社長に就任した頃から『SPR(Sales Process Re-engineering)』というデータに基づく営業活動を進めてきました。結果、売り上げの伸びが、社員数の伸びをはるかに上回るような形になりました」
SPRは、大塚商会が独自に開発した顧客管理・営業支援システムだ。顧客のプロフィールや取引履歴、面談やコンタクト情報などを蓄積している。このシステムによって顧客の現状や要望を把握し、さまざまなデータを分析することで、個々の顧客への提案やサポートにつなげている。
大塚商会ではこのようなDXを03年から進めており、新しい営業の在り方を「科学的営業スタイル」と呼んでいるという。SPRは常に更新し続けている。
「その後も科学的業務を進め、5〜6年前からさまざまなAIを取り入れながら、試行錯誤して導入を進めてきました。やっと少し形になり始めた段階だと感じています。AIを活用することによって売り上げは8.8%向上していて、それにはAIを用いたアドバイスが貢献しています。AIは非常に役立つものだと捉えています」(大塚社長)
大塚商会は「AIによる経営分析」「AIチャットボット」「AI画像分析」「各種最新AI」の4つの領域で、AIの活用や顧客へのサービス提供を進めている。まず大塚商会が自社でAIによるDXを推進し、その知見をサービスとして顧客へ共有しているのだ。
「AIによる経営分析」では、米シリコンバレー「dotData」社のAI分析サービスを使い、企業のデータサイエンスの自動化・運用化を支援するプラットフォームを提供する。このdotData社は米国に設立された企業ではあるものの、藤巻遼平さんという日本人研究者が創業した日系企業なのが特徴だ。
「dotData AI分析サービス」は、大塚商会自らが導入するだけでなく、同社自身がdotData AI分析サービスのソフトウェアベンダーとして顧客にも提供している。これまで「データ収集」「分析用データ加工」「特徴量設計」「機械学習」「可視化」という5つのプロセスが完了するまでに、数カ月はかかっていた。しかしdotData AI分析サービスを活用すると、データプロセスの自動化により、たった数日で完了するのだという。
この分析予測サービスでは、dotData社と大塚商会の「データサイエンティスト」が分析と予測をする。そのため、利用したいデータを顧客側が用意するだけで、分析ができるサービスとなっている。
「AIチャットボット」は、チャット形式で入力されたユーザーからの問い合わせにロボットが自動で回答するものだ。このサービスの中には、最新の生成AIを活用したものもあり、ChatGPTを活用した「たよれーるAIチャットボット × ChatGPT(Azure OpenAI Service)」も提供している。これはChatGPTを安全に利用することで、社内の問い合わせを自動化できるものだ。
その他のChatGPTを活用したサービスとして、生成AIを用いた「プログラム構築支援サービス」や、ChatGPTが社内データを参照して問い合わせに安全かつ適切に答えられるようにする「ChatMee」も展開中だ。ChatGPTを実際にビジネスに活用するための「1日研修サービス」である「ChatGPTビジネス研修」も提供している。
「AI画像分析」では、カメラの画像データを、AIを活用して認識・解析し、リアルタイムの状況や問題を把握できる。主な用途としては、店内の入店者数を把握したり、購買行動を把握したりするマーケティング活動がある。カメラで従業員の顔認証を実施し、入退管理に活用する用途や、作業現場などでの事故予防なども挙げている。
「各種最新AI」では、「Copilot for Microsoft 365」や「Adobe Firefly」といった生成AIを用いたツールを提供している。Copilot for Microsoft 365では、日々の業務における資料や議事録の作成などを、生成AIによってある程度自動化できる。Adobe Fireflyは、テキスト入力をするだけで、デザイン画像を作成できる画像生成AIだ。今回の実践ソリューションフェアでも使い方のセミナーを開いている。
「大塚商会の存在意義は、たくさんのお客さまによって支えられていることです。約29万社の顧客基盤を持っていて、そのうちの約80%が年商10億円の中堅企業の顧客であることが特徴です。こうした中堅企業のIT化、DXの推進をお手伝いする立場なのが大塚商会だと思っています。私どもはAIを含めて、社内で活用し生産性を上げてきたノウハウを各所でお見せしていきたいと思います」(大塚社長)
大塚商会は2023年度通期決算を2月1日に発表した。連結売上高は、前年比13.5%増の9773億7000万円、営業利益は同15.0%増の629億5900万円、経常利益は同13.9%増の645億1700万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同18.6%増の474億4800万円となっていて 、いずれも過去最高の数値だ。24年度は売上高1兆円を狙う。
好調の要因は、社内の業務効率改善に加えて、AIによるDXパッケージの売り上げ増にある。24年は「エンタープライズ向け生成AI元年」と見る向きもあり、さらなる需要増にも期待が集まる。24年に大塚商会が「1兆円企業」の仲間入りを果たすのか注目だ。
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