まず専門店など評判のコッペパンを食べた。「目標とする品質を決めるため、ベーカリーを中心に試食調査した。数は100個を超え、大変だった」と、鈴木さんは笑う。
着目したのは、「コッペパンは総菜パンも菓子パンも同じ生地を使っているが、違うのでは?」という疑問。総菜パンは、焼きそばなど具材に負けないしっとり、もっちりした食感、菓子パンはクリームと一緒に消えていく口どけ感が求められる。2種の生地を開発することにした。
しかし、これが大変だった。多加水の生地は水分が多く緩くなって、機械にかからない。ブリオッシュも同じ、機械での製造に向かない。どちらも手作りベーカリーが得意とし、大量生産には不向きなのだ。
原材料の配合や工程を見直し、生地を休ませる時間を長くするなど、試行錯誤を繰り返した。「“生コッペパン”というすごいものを思いついたつもりだったが、あまりに大変で、なんで始めちゃったのかと、後悔したこともしばしば」と、鈴木さんは振り返る。
生地が完成しても、さらに課題が残った。全国各地の工場で作るため、レシピが同じでも風土や機械の癖などから同じ品質にならない。「細部に至る微調整を繰り返した」。同じパンを何度も試食、「信じられないほどの量を食べた」という。
目標とする生地ができたのは、発売3カ月前。「その瞬間、手応えを感じた」。
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