ドライクリスタルは企画段階から従来とは異なるプロセスを経ているわけだが、ターゲット層についても新たなアプローチを試みている。
これまでは、例えば「40代男性」など具体的なターゲットユーザーのデモグラフィックデータ(属性データ)を設定していた。だが、新商品については「やりたいことがたくさんある人」という生活者の思考を軸に考えて、あえてターゲットとする年齢や性別は定めなかったのだ。
「さまざまなことが多様化する中、40代男性はこういう人だ、とは言い切れない時代になっている。年齢や性別ではなく、日中は忙しく働いて夜は趣味も楽しみたいなど、『やりたいことがたくさんある』という思考を持つ人に飲んでもらう商品として訴求していくことにした」(玉手氏)
アルコール度数については、当初4%も検討していた。玉手氏によると、味だけにフォーカスすれば度数が高いほうがつくりやすいが、顧客調査の結果、多くの人が4%だと『いつものビールと変わらない』印象を持つことが分かった。そこで明確にアルコール度数が低いと分かる3.5%を採用したという。
アルコール度数を下げたことによって、苦戦したのが「味づくり」だ。「試験醸造の序盤では、どうしても軽い飲み口になってしまった。スーパードライのコンセプトにも掲げている『辛口』を感じてもらうために、発売ギリギリまで試行錯誤を重ねた。一時期は、発売も危ぶまれるほどだった」(玉手氏)
最終的には、通常のスーパードライよりも発酵度を上げるなど、各種醸造条件をコントロールすることで、アルコール度数が低めながらも本格的な飲みごたえを実現。商品名の「クリスタル」には、「透明感のあるキレ味」の意味も込めている。
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