本サービスの特徴は「昭和レトロな学校」を再現していること。現在、日本でもZ世代を中心に「昭和ブーム」が起きているが、トレンドを意図したわけではないという。「廃校なので最先端の設備がない。一方で、豊かな自然に囲まれた立地に加えて、自身も昭和世代であることから当時を再現するほうが環境を生かせると考えた」(米司氏)
学校体験のサービスでは、他校から攻め込んでくるヤンキーや、バケツを持って廊下に立つという“昭和の学校あるある”の演出も用意する。
現在、運動会屋では廃校キャンプ場を4拠点運営しているが、学校体験サービスは君津市のみで提供している。「君津だからできたというわけではなく、校舎の雰囲気や体育館も使える使い勝手の良さが決め手となった」(米司氏)
「日本の田舎の学校体験」は、インバウンド向けにありそうでなかったサービスだが、立ち上げにあたり、どんな苦労があったのだろうか。米司氏は「英語が話せて現地へ行ける役者の確保と、体格の大きい外国人が誰でも着用できるサイズを日本で探すのは大変だった」と振り返る。
事業の立ち上げに費やしたコストは約600万円。観光庁が実施していたインバウンド向け事業の補助金を活用し、役者や送迎サービスの確保、制服などを含むコンテンツに必要なものをすべて準備した。
24年1月時点で、利用者はまだいないというが、事前のテストを兼ねた体験会などでの評価は上々だったことから「自信のあるコンテンツはできたので、焦らず集客していく」考えだ。
集客については、InstagramとYouTubeのアカウントを開設し、外国人向けにPRしているが、「立地の問題もあるため、送迎や都心部からいかにして集客するかが今後の課題」となる。
千葉県君津市は都心から離れていて、羽田空港からクルマで約50分、成田空港からクルマで約80分という立地だ。ところが、有名な観光スポットがあるとは言えないため集客は容易ではない。さらに、木更津方面から「CAMPiece君津」へ向かうJR久留里線は、赤字路線として存続の危機にある。
そうした不便な環境ではあるのもの、米司氏は「観光資源の少ない郊外エリアだからこそ、今回の体験型観光サービスを提供する価値がある」と話す。
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