リテール大革命

サイゼリヤの注文方法が進化してる!? カギは「客のストレス減」「効率化」 大手外食チェーンで起きているDXの正体(2/5 ページ)

» 2024年02月26日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

国内では営業赤字が続く

 サイゼリヤは連結損益で増収増益を確保し、予算も超過しています。しかし、地域別に見ると国内で売り上げこそ伸びているものの、営業利益では赤字が続いています。これをアジアの中でも特に好調な中国によって支えているのが実態です。

2022〜23年度の業績

 加えて全社の労務費、設備費は増加傾向にあります。これに食材の高騰が続いたら連結でも厳しい状況ということでしょう。

国内では営業赤字が続く

 そこで同社では今後の取り組み方針として、店舗作業削減や、小投資ローコストオペレーション店舗づくりなどを掲げています。

 取り組みの多くは、店舗の作業効率改善、生産性の向上に関する項目です。いかに少人数で店を運営できるか、ここが肝ということでしょう。特に店舗の作業改善については「デジタル化による省人化」を挙げています。サイゼリヤの店頭注文方法の変化はまさにこれを具現化するための取り組みといえるのです。

 しかし、まだ注文方法のリニューアルは全店に及んでいないようです。筆者が最近行ったサイゼリヤの店舗はまだ注文用紙が残っていました。

注文用紙が残っている店舗も

 従来の仕組みは、コロナ禍では話をしなくても良い便利な仕組みだと感じていました。しかし、多くのチェーンが導入しつつあるスマホ注文を知った後では、紙に自分で書くのは面倒に感じてしまいます。店側でも店員の負荷がかかるでしょう。

 テーブルへの案内、注文確認、料理を運ぶ場面、片付ける場面と、少なくとも4回は一つのテーブルに行かねばなりません。モバイルオーダーであれば、それが3回で済みます。しかも復唱がいらなくなるため、時間短縮にもなります。店員が店内を歩く歩数を減らすことで生産性アップを実現させてきたサイゼリヤとしては、このモバイルオーダーはデジタル化による省人化を進める一番の決め手になるだろうと実感しており、導入が急がれます。

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