飲食店の予約・顧客管理サービスなどを提供するトレタ(東京都渋谷区)が興味深い調査結果を発表しています。実際に飲食業で働いている人を対象にした調査です。
調査結果によると、今も圧倒的に多いのはテーブルでの口頭注文のようです。つまり、飲食業のデジタル化はまだ進んでいないのです。しかし、徐々にタブレットによるテーブルオーダー(ガストなど)、モバイルオーダー(サイゼリヤなど)、食券機(山岡家など)の導入が増えてきています。これらを導入している店の店員が感じているメリットには「少人数でホール対応ができるようになった」「注文のミスが少なくなった」「客単価が上がった」「人件費の削減につながった」という声が多数を占めていました。
注文方法をデジタル化することは飲食企業にとっての生産性向上や人件費削減だけでなく、客の利便性向上や満足度向上につながる策であることが分かります。そして注文や決済がより簡単で誰にも使いやすいものになれば、客のストレスも減り、店舗での体験価値はより上がり、売り上げアップにもつながっていくことでしょう。
飲食店にとって、料理がおいしいという商品力があることは大前提です。それとともに、客がストレスを感じる「注文と支払い」の改善がなければ、リピーターを作りにくい時代になっています。
これからの小売り・サービス業は「注文と支払い」という、客が必ずしなければならない作業をどのように効率化させ、イノベーションさせていくかが顧客支持を得て成長するための肝なのです。
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。直近では著書『図解入門業界研究 最新 アパレル業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本[第5版]』を刊行した。
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