復活できなかったオーサムストア フライング タイガーとどこで差がついたのか長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)

» 2024年02月27日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

原宿・池袋・渋谷へ旺盛に出店

 オーサムストアは中間流通を省くことで、オフノオンなど既存ブランドよりも低価格を実現。プチプラ色を強く打ち出し、最安値は10円のクリアポーチだった。1個33円(5個165円)のマイクロファイバーキッチンスポンジは、5種類の柄がセットになっていて、水だけで汚れを落とせる洗剤要らずなエコな商品だ。デザインが豊富で、台所の作業が楽しくなると、各種メディアでよく取り上げられていた。

キッチングッズが話題を呼んだ(出所:プレスリリース)

 キッチングッズやインテリアグッズ、文具など幅広い商品群をそろえ、商品は全て自社企画。製造も中国にある300以上という協力工場と連携し、ニューヨークの街並みをイメージした内装も自社で手掛けるなどの徹底したSPAぶりで、堀口氏にとって集大成となるショップだった。

 オーサムストアは20〜50代の女性をターゲットとしていたが、落ち着いたシンプルなデザインの商品も多かった。実際には10代や男性、ファミリーも多く来店し、幅広い顧客層の集客に成功した。年間で約6000種類もの商品を、顧客に提案していた。

 1号店の反響に手応えを得たレプハウスでは、オフノオンを次々にオーサムストアへと転換。全国のショッピングセンターに次々と入居してブームを起こし、フライング タイガーの快進撃に待ったをかけた。

 17年6月には、1号店が近い原宿エリアに初のカフェ併設店を出店。ニューヨークの赤レンガ倉庫をイメージした内外装もさることながら、オープンベーグルというオリジナル料理を開発した。ベーグルの中に具材を挟むのではなく、生地の上にトッピングしていく斬新なスタイルで、写真に収めたくなるインスタ映えも追求した。

原宿に合ったカフェ併設店(同前)
ベーグルが名物だった(同前)

 19年7月には池袋の商業施設「キュープラザ池袋」にカフェを併設した店舗として新たな旗艦店をオープン。約460平方メートルの広い店内に、およそ5000点もの商品が並び、筆者が実際に訪れた感想として「お洒落なドン・キホーテ」のような印象を持ったことを鮮明に覚えている。

 さらに21年3月、渋谷センター街に「オーサムストア トーキョー」をオープンした。内装は1階にニューヨークのブルックリンの地下鉄、2階ではブルックリンの街並みをイメージ。2階にはガラス張りのスタジオを設置して、毎月約100アイテムの新商品をインスタグラムといったSNSライブで発信するなど、最先端のプロモーションを行った。コロナで自宅に巣ごもりしていたファンをECに誘導する、一種のライブコマースの試みとしても注目されていた。

 なお、同社は17年に社名をレプレゼントに、さらに22年1月にはオーサムに変更している。

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