復活できなかったオーサムストア フライング タイガーとどこで差がついたのか長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)

» 2024年02月27日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 日本のプチプラファッション雑貨を牽引してきた「オーサムストア」を運営するリテールトランスフォーメーション(東京都港区)が破綻(はたん)した。1月16日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請。19日に再生手続の開始が決定し、2月中に全店を閉店することになった。

閉店したオーサムストア ららぽーと立川店

 オーサムストアは、前の運営会社だったオーサムが2023年5月16日に東京地方裁判所へ自己破産を申請。同日から破産手続を開始したのを受け、リテールトランスフォーメーションが大半の店舗を継承して事業再生を目指した。

 コロナ禍の行動規制がなくなり、都心部や駅前、ショッピングセンターににぎわいが戻ってきている。オーサムストアにとって追い風が吹いている環境なのに、思ったように売り上げが伸びなかった。なぜ、オーサムストアは、急速にブランド力が劣化してしまったのだろうか。

ららぽーと立川店の閉店のお知らせ

 オーサムストアというと、他の店に売っていない高いデザイン性、目からウロコのような用途で遊び心を刺激する商品を連発してきたイメージがある。日本生まれのブランドであるが、米国ニューヨークのテイストを前面に出してきた。

オーサムストアの商品群(出所:プレスリリース)

 それに対して、北欧のデンマーク発「フライング タイガー コペンハーゲン(以下、フライング タイガー)」が、欧州のテイストで対抗。また、100円ショップの「ダイソー」が、500円や1000円の商品を扱い出し、デザイン性を高めた300円ショップの「スタンダードプロダクツ」などの新ブランドを強化してきた。

 さらには、300円ショップの「スリーコインズ」が、1000円や1500円の商品も扱う「スリーコインズプラス」の出店を進めている。ホームセンターの「カインズ」や、家具の「ニトリ」も便利でデザイン性も備えた、生活雑貨を強化してきている。

 こうしたライバルたちが、オーサムストアがコロナで苦戦しているうちに力を付けて、消費者の雑貨購入の選択肢に入ってきた。かつてはオーサムストアの独擅場(どくせんじょう)で、問題にもしていなかった各社がオーサムストアをベンチマークにして、パワーアップしてきたのだ。今回の破綻には、100均ショップや従来のホームセンターでは表現できていなかった、ファッション性の高い雑貨に、一挙になだれ込んできた影響が出たと考えられる。

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