「この人の給与をアップしてもいい」 会社がそのように感じる瞬間高賃金化(3/3 ページ)

» 2024年02月29日 07時00分 公開
[田尻望ITmedia]
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 個人でそれを実現できれば、「あの人、めちゃくちゃ仕事効率いいよね」と言われるようになります。そして、その仕事効率アップについて、きちんとした数値に表して会社に報告すれば、経営者としては手放したくない人材となり、給与交渉によって大幅に給与アップできるでしょう。

 これが、給与アップにおいて「仕事の仕組み化、構造化が大切である」という考え方の重要ポイントです。こうした仕組み化、構造化ができていない会社では、生産性が上がらず、社員の給与を上げ続けることができません。

10時間の仕事を1時間に

 この仕組み化、構造化は、本来は経営者が主導して社員全員で考えて取り組むべきことです。しかし経営者がそうした発想を持たず、「うちの会社、社長はダメだな」と思ったとしても、あなただけでも仕組み化、効率化はできます。

 どの会社にいても、自分が1しかできないものを2に変えて、さらに3、5、10に変えていける人だとすれば、そしてその実績をきちんと話すことさえできれば、転職によって大幅に給与アップすることも可能です。

 ここまで、給与が上がらない原因を「経営者」「幹部層」「社員」、そして仕事の「仕組み化」「構造化」という観点で見てきました。あなたの会社は、どこに一番の問題があるでしょうか? もう一度、それぞれの立場で自社を振り返って、問題点を徹底的に洗い出してみることをお勧めします。

この記事は、『高賃金化 会社の収益を最大化し、社員の給与をどう上げるか?』(田尻望/クロスメディア・パブリッシング〈インプレス〉)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。


著者プロフィール:田尻望(たじり・のぞむ)

 株式会社カクシン 代表取締役CEO

 京都府京都市生まれ。大阪大学基礎工学部情報科学科にて、情報工学、プログラミング言語、統計学を学ぶ。2008年卒業後、株式会社キーエンスにてコンサルティングエンジニアとして、技術支援、重要顧客を担当。

 大手システム会社の業務システム構築支援をはじめ、年30社に及ぶシステム制作サポートを手掛けた経験が、「最小の人の命の時間と資本で、最大の付加価値を生み出す」という価値主義経営の哲学、世界初のイノベーションを生む商品企画、ニーズの裏のニーズまでを突き詰めるコンサルティングセールス、構造に特化した高収益化コンサルティングの基礎となっている。

 その後、企業向け研修会社の立ち上げに参画し、独立。年商10億円〜4000億円規模の経営戦略コンサルティングなどを行い、月1億円、年10億円超の利益改善などを達成した企業を次々と輩出。企業が社会変化に適応し、中長期発展するための仕組みを提供している。

 著書に『構造が成果を創る』(中央経済社)、『キーエンス思考×ChatGPT時代の付加価値仕事術』(日経BP社)、『付加価値のつくりかた』『再現性の塊』(かんき出版)がある。


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