99.6%にあたる社員・全役員が生成AIに関するリスキリングの受講を完了――これは、IT大手のサイバーエージェントが達成した、社員の学び直しの取り組みだ。
同社は2023年11月から「生成AI徹底理解リスキリング」プログラムを開始。同年12月までに、全執行役員を含む6200人超えの社員が受講を終え、Webテストに合格した。非ITエンジニアがプログラミング言語を使った業務の自動化に成功した事例など、すでにリスキリングの効果が表れ始めているという。
学び直しへの関心が高まる一方で、全社的にプログラムを軌道に乗せ、学びの効果を発揮できるようになるのは、そう簡単ではない。同社はいかにして、リスキリングプログラムを構築し、社内に浸透させていったのか。主導した「リスキリングセンター」センター長の小枝創さんと、友松祐太さんに話を聞いた。
Q. 言語モデルが文章を生成する仕組みの説明として、正しいものはどれか(単一選択)
(1)言語モデルは、次に出力すべき単語(や文章の一部)をランダムに決める。
(2)言語モデルは、入力された内容や今まで出力した内容に沿って、次に出力すべき単語(や文章の一部)の確率を求める。
(3)言語モデルは、自分の出力内容を予測すること(自己回帰的な予測)はできない。
これは、サイバーエージェントが全社員向けに用意したプログラム「生成AI徹底理解リスキリング for Everyone」の理解度を図るテストの一例だ。この問題の答えは(2)。回答すると「言語モデルとは、これまでに入力された内容と出力した内容をもとに(自己回帰的に)、出力すべき文章を決めてくれるシステムのことです」などと解説し、社員は学んだ内容を復習できる。
社員は約20分の動画教材を視聴した後、こうした3択問題を5問解く。これを5週間にわたって受講し、最後にまとめテストに合格して受講完了となる。
「一気に受講すると動画も1時間を超えて負荷が大きく、全社員の受講は難しい。そこで、週ごとに小分けにした」。リスキリングセンター長の小枝さんはこう話す。
動画教材やテストは自社で製作した。23年10月30日に第1回の動画教材を公開。同年12月15日をリスキリングの完了期限とし、週ごとに動画を公開してリスキリングを推進した。その結果、受講対象者6272人のうち、99.6%にあたる6247人が合格。役員の受講完了も100%を達成した。
リスキリングへの関心が高まる一方で「適切な研修方法が分からない」「期待するレベルのスキルが身に付かない」――といった課題を抱える企業も多い中、サイバーエージェントはいかにして、リスキリング施策を進めていったのだろうか。
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