強みのある分野に特化したビジネスモデル 台湾Foxconnとシマノの事例を見るビジネスモデルが分かる(1/5 ページ)

» 2024年03月13日 08時00分 公開

【基本コンセプト】

 レイヤーマスターとは、ある産業におけるバリューチェーン内の“特定の業務や機能”に関する活動に特化し、そこでの競争優位を構築する戦略です。“特定の業務や機能”のことを「レイヤー(層)」と呼びます。

 レイヤーマスターが特化するレイヤーは、「製造に特化」「販売に特化」など、バリューチェーンの主業務のいずれかになることが多いです。

 また、製造や販売といった「業務」ではなく、ある製品において特定の機能を担う「部品」にも、レイヤーマスターが存在します。例えば、パソコン産業においては、CPU、メモリ、ハードディスク、OS、パソコンの本体(ハード)、アプリケーション・ソ

フトウェアといった、パソコンに必要な機能を果たす部品が存在しますが、これらの部品のいずれかに特化することでも競争優位を構築できます。主なレイヤーマスターには、CPUのレイヤーに特化するIntelや、OSに特化するMicrosoftなどが挙げられます。

 つまり、レイヤーマスターとは「バリューチェーン内の特定の業務」や「産業内の特定の機能(部品)」に特化することで技術や経験を蓄積し、市場内でのドミナントを形成しようとする企業のことを指します。

【Memo】

 「レイヤーマスター」というビジネスモデルは、既存のバリューチェーンを再構築して生産性を高めたり、新たな価値提供の仕組みを考えたりするためにBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)が提案したフレームワーク「デコンストラクション」の中の1種です。

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