リスキリングプログラムへの参加は、会社側が命令するのではなく、グループ各社から希望者を募集している。第1期に応募し、パーソルホールディングスのセキュリティ部門に本配属となった新谷氏は、応募理由を次のように語る。
「以前は、会計領域専門の営業職(キャリアアドバイザー)でした。デジタル関連のセキュリティ領域での専門性も磨きたいと考えていたところに、リスキリングの募集があったので手を挙げました。未経験の職種にチャレンジするというのは、簡単にできるものではありません。このチャンスを逃さないようにしようと考えました」(新谷氏)
前半の3カ月は、スキル習得と情報セキュリティマネジメントの資格取得に費やした。そして後半3カ月は、新しい配属先でOJTのもとで実務を体験しながら研鑽(さん)を積んだという。もちろん全期間において、前職の待遇と同様の有給が約束されている。
「座学での学びは資格取得に必要なだけでなく、OJTの現場でも役立ちました。ただ、実践を伴わない表面的な知識の積み重ねなので、現場で直面した課題と学びの内容が結び付かない場面もありました」(新谷氏)
このような受講者の「内容が結び付かない」という意見を踏まえ、第2期ではプログラムの内容を変更した。詳細は後述する。
パーソルホールディングスでは、リスキリングプログラムを構築する上で、次の4つの要件を定めた。
他社のリスキリング事例を研究した上で定めたという。(3)について、今回のプログラムでは、学びとキャリア形成という2種類のコーチを付けている。
「オンラインでの1人学習で難しいスキルを身に付けようとしているわけですから、進捗度の確認や不安の解消など、相談にのってくれる学びのコーチを付けました。また、新しいキャリアに挑戦するので、キャリアコーチにも相談できる体制を整えました。
それと同時に、1人孤独で学ぶといった状態に陥らないように他の参加者とコミュニケーションが取れるようにしました」(内田氏)
他社の事例を研究する中で、失敗パターンとして気を付けたのが次の事例だったという。
「所属はそのままに、企業側から指名されて研修に独自参加し、終了後も元の職場でスキルを発揮しなさい、という会社主導型のリスキリングは失敗に陥りやすいパターンです。あくまでも自発的に手を挙げる仕組みでなければなりません」(内田氏)
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