傘下に、損害保険ジャパンといった保険企業をはじめ、介護事業、ヘルスケア事業、投資信託などを持つSOMPOホールディングスがグループをあげてDXを推進している。ルーツをたどると明治時代にさかのぼるほどのレガシー企業だけに、アナログ文化が根強く残っている。そのような企業が変容を遂げるのは簡単ではない。
しかし、同社は「DX推進の要は人材にあり」と、トップの強いメッセージと共に、全社員を対象としたDX人材の育成を戦略的に実施している。デジタル・データ戦略部課長代理の有田芳子氏と人事部課長代理の須藤翔太氏に人材育成の取り組みについて話を聞いた。
SOMPOホールディングスが進めるDX人材育成は、国内グループ全社員が対象だ。とはいうものの、連結対象企業の総従業員数は約6万3000人にも上り、老舗の保険会社として「紙」の扱いに慣れた社員が多い同社だけに、戦略的な育成計画を進める必要がある。
「DXを推進するための必要な人材を役割とスキル別に、(1)DX企画人材、(2)DX専門人材、(3)DX活用人材の3つにカテゴライズしました」(有田氏)
(1)DX企画人材は、グループ内各組織のデジタル化やDXを牽(けん)引する役割を担っており、重点育成対象の対象となる。例えば、グループの中核を成す保険事業会社の本社部門の社員がこれに該当する。
その一方で、(3)DX活用人材は、営業部門などビジネス現場の領域に属する社員が対象だ。例えば、デジタルツールを導入した際には、抵抗なく使いこなすことができるようにするなど、文字通り「活用」を前提とした育成を目指している。
全社員がこれらDX企画人材とDX活用人材のどちらかに属することになるそうだが、「現時点では、ざっくりと部門で振り分けしている状態で、双方の区分けを明確に定義しているわけではありません。今後社内で議論を深めて明確化していきます」(有田氏)
ただし、(2)DX専門人材は、先の2つとは異なり役割は明確化している。「専門」の名が示す通りデータサイエンティスト、エンジニア、UI/UXデザイナーといった高度なデジタルスキルを有した人材が属している。ただ、このような人材は、育成に時間を有するため「当社専門人材の出向や外部からのキャリア採用を中心に構成しており、育成の対象外です」(有田氏)
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