「オーケストレーター」ってなに? Dell、アスクル、IKEAは他社の協力を得てビジネスを作り替えたビジネスモデルが分かる(1/5 ページ)

» 2024年03月15日 08時00分 公開

【基本コンセプト】

 オーケストレーターとは、ある製品・サービスに関するバリューチェーン内の特定の部分を担いつつ、その他の部分に関しては他社にアウトソーシングすることで、バリューチェーン全体の最適化を図っていく戦略、またはそれを担うプレイヤーのことを指します。発想そのものは「レイヤーマスター」と似ています。そのため、ここでは先にオーケストレーターとレイヤーマスターの違いを見ていきます。

 レイヤーマスターとは、「CPU」という特定の部品に特化する Intelや、「製造」という特定のプロセスに特化する Foxconn(鴻海精密工業)のように、バリューチェーン内の特定のレイヤーに特化するビジネスモデルです。

 一方、オーケストレーターの代表的企業は、コンピュータ販売大手のDellです。Dellは受注生産方式を採用していますが、同社が「パソコンという完成品を消費者に届ける」という一連のバリューチェーンの中で主に担っているのは、製品の企画やマーケティング、販売、アフターケアなどです。その他の、部品製造・調達や製品の組み立て、配送などは他社にアウトソーシングしています。

 このように、コンピュータ販売におけるバリューチェーン内の付加価値を生む活動を担いながらも、他の活動は外部企業の協力を得つつ、しかし、バリューチェーン全体の最適化(Dell の例でいうと、受注生産方式の採用によるパソコン販売の効率化)を果たそうとする戦略やプレイヤーのことを「オーケストレーター」と呼びます。

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