ここでポイントとなるのは、オーケストレーターは特定の部分を担いつつも、他社を巻き込んでバリューチェーン全体の最適化を図っている点にあります。決して、自社が担う特定の部分以外に目を向けないということではありません。
再びDellのケースを例に考えてみます。コンピュータ販売とは通常、ある程度スペックが決められたいくつかの種類の完成品を、メーカーから小売店を通じて消費者に届ける仕組みでした。これは見方を変えると「在庫をストックしたうえで販売する方式」ですが、この方式はコンピュータの製造・販売に関わる各企業にとっては損失リスクを抱えるものでもありました。
Dellはこのリスクを解消するために、受注生産方式によるコンピュータ販売を手がけ、自社のビジネスに協力してくれる部品メーカーや組み立て業者、配送業者などを巻き込むことで、あたかも「オーケストラの指揮者」のような立場でバリューチェーン全体を再構築しました。これがオーケストレーターの特徴です。
【Memo】
オーケストレーターは、レイヤーマスター同様、BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)が提案したフレームワーク「デコンストラクション」の中の1種です。
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